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米ノートルダム大学(University of Notre Dame)の心理学教授アニータ・ケリー(Anita E. Kelly)氏は「誠実」に関する研究を行っている。その結果、誠実でいることが健康増進につながることが分かった。
ケリーは72人の大人を募集し、「誠実なグループ」と「対照グループ」に無作為に分けた。そして実験期間中の参加者の身体に現れたあらゆる不具合と感覚を記録した。
研究者たちは「対照グループ」の被験者に何の指示も与えず、彼らが5週間にわたる秘密の研究に参加することを知らせただけだった。
これに対し、「誠実なグループ」には単純な指示を出した。5週間の間、毎日誠実でいることだ。常に正直でなければならず、うそをつくことは禁じられた。ただしジョークを言うことは許された。そして公の場面では真実のみを話すか、沈黙するかを選択することができた。実験期間中、参加者の両グループは定期的にうそ発見器による調査と身体検査を行った。研究者は彼らの健康状態を事細かに記録した。
この研究が始まったわずか1ヵ月後に、ケリーは信じられないようなことを発見した。「誠実なグループ」の36人の健康状態が大幅に改善されたのだ。実験の初期に患っていた病気の多くが大幅に好転した。一方、「対照グループ」の被験者の体調はあまり変化せず、一部の人々の症状はかえって悪化した。
実験後、2つのグループには大きなギャップが生じた。「誠実なグループ」の被験者は症状が好転したのみならず、のどの痛みや頭痛、吐き気などに悩まされることが少なくなった。そして心理状態もまた大いに改善され、緊張や不満といったマイナスの感情も少なくなった。
この実験結果はPsychology Todayで公表された。秋の初めから、彼女は真実のみを語るという原則に従って生活した。ケリー教授はもともと8時間睡眠で、冬には平均5〜7回風邪を引いていたが、真実のみを語る生活をした結果、現在は1日3時間の睡眠だけで十分であり、風邪を引くこともなくなった。
「誠実でいる」という一見単純なことを行うだけで、これほど健康に良い影響をもたらすのは信じがたいように思えるかもしれない。しかしケリー氏の研究により、このことは科学的見地から証明された。
(翻訳・柳生和樹)