北京金融街(維基小霸王, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 中国国有の不良債権受け皿会社、中国華融資産管理(華融)は18日、「利益警告(注)」を発表し、2020年の最終損益が1029億元(約1兆7380億円)になると明かした。4カ月遅れで発表した華融の年次決算報告は過去最大の赤字となった。

 華融の頼小民元会長は1月、収賄、横領、重婚の罪で死刑判決を受けた。しかし、頼小民が死んだにもかかわらず、華融の問題は依然として深刻になっている。中国の公式経済紙「証券時報(中国の3大証券新聞の一つ)」によると、華融は2020年の年間損失が1000億人民元(約1兆6930億円)を超え、2020年6月末時点での負債比率は90.3%、2019年の純利益は14.24億元(約240億円)だった。

 巨額の損失を出した主な原因について、華融は、2020年に頼小民案件の裁判と判決を受けて、在任中の過激な事業展開と無秩序な拡大によるリスク資産の整理と処分を続けた一方で、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の感染拡大で市場への影響による、一部の顧客が契約を履行する能力の低下や、資産の質の劣化が加速し、経営成績に大きな影響を与えたと明らかにした。

 華融の巨額の損失に関するニュースは、ソーシャル・メディア・プラットフォーム上で話題となった。

 「国民が苦労して稼いだ金だぞ!もう一回死んでも補えない」

 「死んでも惜しまないのだ。問題は、次回の『頼小民』の出現をどうやって避けるかだ!」

 「この損失は誰が負担するのか?国民ではないか?」

 2018年、中央規律検査委員会は、頼小民を調査し、中国共産党の党籍と公職から追放したことを発表した。2019年、頼小民は収賄、横領、重婚の疑いで起訴された。2021年1月5日、頼小民は死刑を宣告され、1月29日、天津の裁判所で死刑を執行された。

 注: 利益警告は、英語の「Profit Warning」の日本語訳で、業績の下方修正のことである。海外企業の決算期になると散見される用語で、従来発表していた業績見通し(業績予想)が達成できなくなることを意味し、時として相場に波乱を巻き起こすことがある。

(翻訳・徳永木里子)