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家族と一緒に映画を見ていたとき、あるセリフを聞いてみんな笑った。
映画には一人の滑稽な登場人物がいた。彼は私利私欲にまみれた人で、周りの人を傷つけたりいやな思いをさせたりしていた。しかし結果的に彼自身のためにすらならないことが多かった。そして悪いことをした挙句、彼は紳士のふりをして、自らの悪行を隠ぺいしようとした。しかし彼の周りの人々は彼の人となりを熟知しているため、いくら隠ぺいしても無意味であった。彼は自らを欺いているに等しかった。
それから、次のようなコメントがあった。「彼の行為を知らないのは、彼自身だけだ。」このセリフを聞いて、彼はなんてかわいそうな人物なのかと思った。彼は自らの悪事を隠そうとしているが、実は周りの人はみな彼の行いを知っている。彼は自分を騙しているだけだ。
この洗練された対話は実に奥深い。映画の登場人物はばかげたことを行っているが、日常生活において私たち自身も同じようなことをしているかもしれない。たとえそれが故意でなくても、人に知られたくないことをやってしまうこともあるかもしれない。
当事者は自らの行いを隠し、誰にも知られないようにと努力するが、大概の場合それは自らの耳目を塞いでいるだけに過ぎない。「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉はまさに的を射ているのだ。それゆえ、私たちは何かにつけて隠し事をしようとするのではなく、物事を遂行する時に心を正しく保ち、他人に知られても恥ずかしくないふるまいを心掛けるのが最善と言える。
(文・青松 / 翻訳・柳生和樹)