中国共産党(以下、中共)は、国内の若者の間に「マルクス主義の信念」を確立するため、「習近平思想」を国家の教育課程に取り入れる方針だという。教育省が24日、新たな指針を発表した。それによると、習近平国家主席の「新時代の中国の特色ある社会主義思想」について、小学校から大学までの教育課程で教えていくという。
中国教育省教材局の田慧生(でんえせい)局長は24日午前の記者会見で、教育省が「習近平思想」を学ぶための「手引き」を正式に発表したと明らかにした。小・中・高等学校、大学、大学院で「習近平思想」を学ぶための要件を明確にしたものだ。
中国教育省は今年7月、「習近平思想」を教材や授業、学生の心に取り入れることを促進するために、小・中・高等学校向けに「習近平思想」の教材を作成したことを発表した。このシリーズの教材は、今年の秋学期から全国の小中学校で使用される。
上海市教育委員会は3日、「2021年度の小・中・高等学校の上海教育課程計画とその説明」を発表した。同文書によると、「習近平思想課程」の小学校版を3年生の前期と5年生の前期に、中学校版を2年生の前期に、高等学校版を1年生の前期に配置し、いずれも必修科目と定めているという。
同文書はまた、上海市の小・中・高等学校では、上海小・中・高等学校教科書審査委員会の審査を受けていない海外のオリジナル教材や復刻版教材を使用してはならないことや、いわゆる「革命文化」や「社会主義文化」などを小・中・高等学校の教育の全過程に組み込む必要があることなどを強調している。
さらに、小学校3から5年生の期末テストでは国語と数学だけで、英語のテストが禁止されているという。
北京のベテランジャーナリストである高瑜(こうゆ)氏はラジオ・フリー・アジアのインタビューで、今の教育システムはまるで毛沢東時代の完全なレプリカであり、現在育成している学生は毛沢東時代の紅衛兵(注)となるだろうと語った。
スウェーデンの翻訳家である万之(まんし)氏は、「習氏は西側諸国の圧力に応じるため、中国国民の幸福と未来に賭けることさえ惜しまない。習氏の政策は党内で反対されているだけでなく、西側諸国を覚醒させた。これは中国共産党の終焉でもある」と述べた。
「習近平思想」は「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」と呼ばれ、2017年10月の中国共産党第19回全国代表大会(全人代)で党章に、2018年の全人代と中国人民政治協商会議で憲法に明記された。
注:紅衛兵(こうえいへい)は、「毛沢東思想」の申し子として文化大革命初期の推進役となり、中国社会を震撼(しんかん)させた青少年集団。
(翻訳・吉原木子)