子供たちを連れて海に行きました。ちょうど干潮の時で、たくさんの人がバケツを持って潮干狩りをしていて、浜辺は賑わっていました。
私たちは何のツールも持っていなかったので、ただビーチを散歩することにしました。歩いていると、砂浜に小さな穴がいっぱいあるのを見つけました。その穴は、砂ガニの巣穴だそうです。砂ガニは小さくてとても可愛く、浜辺の小さな巣穴にもぐっていました。
もちろん、本格的に潮干狩りをする人は、砂ガニには目もくれず、大きめのカニを捕まえようとします。そして、石の下は大きなカニを見つけやすいので、彼らは石を目当てに、腰を曲げたり、石を上げたりして、とても忙しくしていました。
一方、私たちは砂ガニと遊び始めました。遊んでいるうちに、子供たちはどこかからか細い針金を拾って来ました。「 砂ガニを釣ろう」と子供たちは、「魚釣りには魚餌が要るから、砂ガニ釣りにも『カニ餌』が必要だ」と彼らなりに考えていたようです。そして彼らは、その場にある素材・海藻を拾って来て、針金にかけ、小さな穴の前に置いて、静かに待ちます。
そばで子供たちの様子を見ていた私は絶句しました。その針金はまっすぐで、砂ガニが釣れるわけがないのです。しかも砂ガニは海藻を食べませんし、子供たちにも全く興味がありません。しかし、子供たちは砂ガニが穴から出てくるのを見つけると、すぐに海藻を砂ガニに差し出して、楽しそうにしていました。
気が付けば、ビーチで2時間も遊んでいました。帰る前に、子供たちは手を振りながら、砂ガニにさよならを言いました。
遠くで潮干狩りをする人たちは、まだ石を持ち上げたり、カニを捕まえたりして忙しそうにしています。彼らにはきっと収穫があることでしょう。それに対して、遊んだだけの私たちは、何も持ち帰りませんでした。
帰り道で、「砂ガニ釣りに次はいつ来ようか」と、子供たちはもう次回の予定を計画していました。私も笑顔でうなずきました。
大人たちから見ると、まっすぐの直針でカニを釣るのは、無駄なことに決まっています。しかし、子供たちの歓びは確かなものです。損得を考えずに、ただ単に遊びを楽しむ子供たちでした。よく考えたら、なかなか贅沢でいい遊びですね。
(文・青松/翻訳・清瑩)