軍事研究家・元陸上自衛官で、国家生存戦略研究会の矢野義昭会長は7月21日、日本イノベーションクラブに登壇し、『尖閣・台湾をどう守るか』をテーマに演説を行い、日本と台湾の自主防衛能力に警鐘を鳴らした。
矢野氏は、軍事費支出の急増、軍事演習の頻繁さ、武装漁船の増強、核設備へのサイバー攻撃、戦時野外病院の台頭と食糧備蓄の強化など、様々な動きから、中国共産党(以下、中共)政権が戦争の準備を始めていると分析した。
矢野氏は、中共は尖閣諸島と台湾を、中国が太平洋に出るための大門の一対の「かんぬき」と見ていると述べた。建国百周年の2049年までに米軍をしのぐ世界第一位の強い軍隊をつくるという夢を抱く習近平政権の意思を背景に、中共は2027年までに尖閣諸島と台湾を併呑することを目標としている可能性が高いと指摘した。
日本の現行の『海上保安庁法』と『自衛隊法』では、日本の海上保安官の武装力、武器使用権限および軍事機能発揮の即時性は、海上保安の需要に応じることが難しいと矢野氏は考える。このままでは、尖閣諸島が占領されたことが既成事実となった場合、奪還作戦はとても難しく、たとえ奪還しようとしても、海空戦力における優勢を確保するのは困難であると指摘した。
日本と台湾がいま直面している危機について、中国軍の海上軍事戦略「A2/AD戦略」、米空母の援助の遅延と困難、日台の自力防衛の数か月間の持続可能性、中共の核恫喝を米国の後援でやり過ごす方法、中共の超限戦の脅威など、「絶えず脅威に晒される」ことになっているという。
これらに対し、矢野氏は、日米豪印戦略対話(クアッド)や東南アジア諸国連合(ASEAN)での連携や、ヨーロッパとの協力を図ると同時に、日本は台湾との横方向の連携を強化し、核兵器攻撃対応、通常の戦闘能力及び非軍事的能力において、日台がそれぞれ長期的かつ独自の防御姿勢を作り上げる対策を提案した。
矢野氏は取材で、日本国民は、幻想を払い、中共の真実を見極める必要があると述べた。
(翻訳・常夏)