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 中国の宗教的自由と人権を中心に報道する雑誌「Bitter Winter」によると、中国共産党は、小中学生に無神論を植え付けることに力を注いでいるという。学生は宗教を拒絶するよう教えられ、宗教に関わる人物を発見した場合は当局に報告するよう求められていると同誌は報じている。

 遼寧省瀋陽市教育局は、生徒たちに宗教活動への参加を禁止するよう学校に指示している。たとえば、遼寧省(りょうねいしょう)営口市(えいこう-し)の教師たちは、WeChat(中国のSNSアプリ)を通じ「学生が宗教的信念を持っているかどうかを調査せよ。また、宗教的な行動が見られた場合、その事実を公安局に報告するよう学生の親を脅迫せよ」と上司から指示を受けたという。

「学校側は、宗教は『カルト』であり信じてはならないと生徒に話すよう要求する。だが『カルト』とは何なのか生徒に教育することはない」と、湖北省の小学校教師・林氏はラジオ・フリー・アジアに語った。

 湖南省の教師・王氏は、「学校は学生に対し、中国共産党の『闘争哲学』と無神論を植え付けるよう要求してきた」と訴えた。

 Bitter Winter誌は、甘粛省蘭州市の警察が小中学生に対し「宗教的信念を持っている人物を発見した場合、直ちに当局に通報する」よう指導したと報じている。学生たちは、市民を通報した場合は150ドル、宗教指導者を通報した場合には1,500ドル~6,000ドルの報酬を約束されたという。また学生たちは、両親や家族であっても通報を躊躇してはならない、宗教家が近づいたら直ちに通報するように、と指導された。地元の小学校を訪問した安徽省亳州市(はくしゅう-し)の警察も同様に、「家族の宗教活動を警察に通報すれば現金がもらえる」と指導したと報じられている。

 広東省で子育てをする潘氏は、ラジオ・フリー・アジアにこう語った。
「こうしたアプローチは、文化大革命の間に使用されたものと似ている。やがて人間関係は破壊され、人々の間に不信と無関心が広まるだろう」

 中国本土出身の教師・李氏は、「共産党が宗教的信仰を含む伝統的な文化価値から根絶し、子供たちの無実と道徳を破壊している」と新唐人テレビに語った。「無神論を教えることで、子供たちの心と行動は憎しみと抑圧が満ち溢れるように操作されてしまうだろう」

 中国共産党は、社会全体に共産主義のイデオロギーを受け入れさせることに重点を置いている。「宗教と道徳を破壊する」ことで中国が無神論国家になり、共産党の目標が達成されると考えているようだ。

(翻訳・今野秀樹)