2001年9月11日、米国ニューヨークで発生した同時多発テロ事件で、ユナイテッド航空175便が世界貿易センターのサウスタワーに激突(UA_Flight_175_hits_WTC_south_tower_9-11.jpeg: Flickr user TheMachineStops (Robert J. Fisch)derivative work: upstateNYer, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党の公式メディアCCTV網(cctv.com)のウェイボー(微博、Weibo)では16日、「60秒でタリバンの過去と現在がわかる」というタイトルのショート動画を掲載した。動画の内容はタリバンとテロ組織の間の関係を意図的に切り離そうとし、主流メディアを利用して世論操作し、タリバンがテロリスト組織であるという印象を中国の人々の頭の中から消し去るためである。

 ネット上のバックアップ動画によると、タリバンはアフガニスタンの内戦期間中に誕生し、難民キャンプの学生を中心としたメンバーが800人強でスタートし、貧しいアフガニスタン人の支援を受けて急激に拡大したという。タリバンの武装勢力は1996年に首都のカブールを占領し、アフガニスタン・イスラム首長国を設立した。2001年の米国同時多発テロ事件後、タリバン政権はアメリカに倒され、その後20年に及ぶ戦争が始まったことなどが挙げられる。

 同動画はしばらくの間、ウェイボーの検索ランキングトップ5にランクインしており、ネットユーザーからは疑問の声が殺到した。

 「以前はテロリストと言っていたが、今は何なのかわからなくなった」

 「タリバンがテロリストでないなら、アフガニスタン市民はなぜ、あらゆる手段を使って必死に脱出しようとしているのか」

 「私の11年間の認識では、タリバンが米国同時多発テロ事件を引き起こしたテロリストであると、ずっと思っていたが、今年の世論が時空間の錯乱を感じさせる」

 「世界を知るためには、もっと本や新聞を読むことを提案する。様々なメディアやマーケティングの数字に惑わされてはいけない。タリバンはテロ組織であり、それは紛れもない事実。アメリカを嫌っても結構だが、タリバンを美化しないでください」

 多くのネットユーザーの疑問や批判を受けた後、同動画はCCTV網から削除された。その後、16日に中国共産党の機関紙「人民日報」の公式ウェイボーに再投稿され、同様に投稿から4時間後に削除された。

(翻訳・徳永木里子)