中国共産党(以下、中共)の市場規制当局が17日、不正競争行為を禁止する規制草案を発表したことから、中国と香港の株価が急落した。
中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は、「ビッグデータ殺熟」(注1)や「二者択一」(注2)などのネット企業における不正競争を禁止することに関し、パブリックコメント(意見募集)を行った。これを受け、香港株の中国ネット企業百度 (バイドゥ、Baidu)、テンセント・ホールディングス(騰訊控股)、アリババグループ(阿里巴巴集团)の株価はそれぞれ、5.45%、4.14%、4.77%急落した。
米国証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長が16日、中国株への投資リスクを警告した後、米上場の中国テクノロジー株は大量に売却された。
ブルームバーグによると、中共が17日に発表した意見書は、テンセントやアリババなどのテック大手独自の生態系の解体を強いる可能性がある。これらの生態系は、ユーザーがある会社のプラットフォームから別の会社のサービスにアクセスすることを阻止している。
招商証券国際有限公司のストラテジストであるダニエル・ソ氏は、「中共公式メディアのコメントや公式措置は、依然として市場センチメントに影響を与えている」と述べた。
中共の不確実な規制環境は、テクノロジー業界に影を落とし続けている。SECの書類によると、今年の第2四半期に、投資家はジョージ・ソロス氏の投資会社と同様、米上場の中国株を売却した。
注1:「ビッグデータ殺熟」とは、ビッグデータを利用し、同じ商品やサービスでも古いユーザー向けの価格は新規ユーザーより高くなるという現象である。
注2:「二者択一」とは、取引先に対し、ライバルのネット企業と取引しないように、自社のサービスだけを使うよう利用者に圧力をかけること。
(翻訳・徳永木里子)