テンセント(騰訊)社の取締役会会長・CEOである馬化騰(ばかとう)(TechCrunch, CC BY 2.5, via Wikimedia Commons)

 中国のテック大手テンセント(騰訊)社は18日、中国当局に500億元(約8,440億円)の資金を追加投入し「共同富裕の特別計画」を立ち上げたと、公式ウィーチャット(微信、WeChat)アカウントで発表した。同社は4月に500億元を投入し「持続可能な社会的価値イノベーション」戦略の発足以来、4ヶ月間で自主的に1,000億元(約1兆6880億円)を中国当局に資金提供したことになる。

 中国共産党(以下、中共)の習近平総書記は17日、中央財経委員会の会議で「共同富裕」の促進を示した。翌日深夜、テンセント社は、当局が提唱する「共同富裕」計画にさらに500億元を寄付すると発表した。

 中央通訊社(CNA)によると、中共当局が「共同富裕」を強調したことは、中国の富裕層はより多く寄付しかねないことを意味する。

 ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、テンセント社の寄付はただの寄付ではなく、中共への「みかじめ料」に等しく、中共に睨まれている状況を好転させようとしているとの分析を引述した。

 中国問題の専門家である秦鵬氏は、新唐人テレビの取材で、「中共は機転のいい富裕層に対し、自身の機嫌をうかがわせ、散財すれば災いを免れることをあからさまに伝えた。テンセント社の創業者である馬化騰氏は先陣を切って忠誠心を示した」と指摘した。

 3月、インターネット情報弁公室(中共のインターネット規制当局)と公安当局は、テンセント、アリババ、シャオミ(小米)、北京字節跳動科技(バイトダンス)など多くのテック企業に聞き取り調査を行った。

 7月7日、市場監督管理総局は、インターネット業界の22件の違法経営案件に対して罰金を科した。うち5件の案件はテンセント社関係で、同社は再び名指しとなり、合計250万元(約4200万円)の罰金を科された。

 7月24日、中共の規制当局は独占禁止法に基づき、テンセント社にオンライン音楽の独占著作権を放棄するよう命じ、50万元(約840万円)の罰金を課した。

(翻訳・徳永木里子)