中国共産党(以下、中共)の王毅(おうき)外相は7月28日、アフガニスタンの反政府勢力タリバンの幹部であるムッラー・アブドゥル・ガニ・バラダル氏と天津で会談し、国際的な議論を巻き起こした。中共は、15日にアフガニスタンを掌握したタリバン政権を認める可能性が高いという。
ロイター通信によると、王毅外相はタリバン幹部らと会談した際、「アフガニスタンにおける穏健なイスラム政策を期待する」と話したという。
これを受けて、中国公式メディア「環球時報」も13日、アフガンの野党指導者のインタビューを掲載し、「臨時政府はタリバンを含まなければならない」と主張した。
中国外交部の華春瑩(か しゅんえい)報道官は16日の記者会見で、「中国はアフガニスタン国民が自らの運命を独自に決定する権利を尊重する」とし、「駐カブール中国大使館は正常通り運営する。アフガニスタンとの友好的で協力的な関係を引き続き発展させていく用意がある」と述べた。
上海の復旦大学の南アジア研究センターの林民旺(りん みんおう)副所長は、中国のようなアジアの大国がタリバンの政治的正統性を認めるために公の場で会見することは、タリバンにとってすでに大きな外交的勝利であると考えている。
ドイツの中国外交政策専門家のアンドリュー・スモール氏は、「中国はタリバンに対して、いくつかの使えるカード(対策)を持っている。タリバンは中共が今後しばらくの間、アフガニスタンへの唯一の経済援助国となることを十分に認識しており、中共当局がタリバン政権に疑念を抱けば、この経済援助はアフガニスタンに送られないだろう。中共はアフガニスタンに直接的な経済的利益をあまり持っていないが、パキスタンなどの近隣諸国には中国に関連する「ソフトターゲット(注)」が多く、それこそが中共の真の懸念である」と述べた。
注: ソフトターゲットとは、軍事またはテロ攻撃に対して比較的守られていないか脆弱とみられる人または物(施設)である。
(翻訳・吉原木子)