近日中国公式の発表によると、中国の不妊夫婦が5000万人を超え、記録的な数値となった。中国の人口危機を解決すべく、中国当局は複数の省で生育補助医療施設の建設を計画している。同発表は社会で話題を呼んだ。
不妊夫婦が5000万人を超える
近日、「複数省で生育補助医療施設の建設計画」という話題が中国のヒット検索に上り、注目を浴びた。中国メディアの報道によると、上海、河北、河南、天津など12の省で「生育補助医療適用計画(2021-2025)」が発表され、そのうち、四川省は5年以内に20軒に及ぶ関連施設を建設しなければならないと規定されている。
中国健康委員会が発表したデータによると、2020年6月30日まで、中国の合法な「生育補助医療施設」は523軒である。
注目すべきなのは、中国人口協会(CPA)、国家衛生健康委員会が発表した資料によると、中国の出産可能な夫婦の不妊率は1995年の2.5-3%から、2007-2020年の12-18%に上り、不妊夫婦が約5000万人に達し、この数値は上昇傾向にある。
中国当局が3人目の子どもを産むことを許可してから、積極的に生育を促す政策を出しているが、日増しに深刻になる高齢化、少子化問題を解決できていない。
中国国家統計局公式サイトが発表したデータによると、2020年中国の人口1,000人あたりの普通出生率が8.52で、はじめて10を下回り、1978年以来の最低値となった。これと同時に、2020年の公式統計によると、婚姻届を出した夫婦が814,33万で、2019年より113万減り、2013年以降連続7年の下降となる。
これをめぐり、今年9月に中国公式メディアは生育補助医療施設と体外受精の宣伝に力を入れている。しかし、民間では受け入れ難いようである。
環境汚染が深刻で、食品品質も保証されず、仕事のストレスなど諸々の問題によって不妊率が上昇したという人もいれば、体外受精の成功率は低いだけでなく、女性へのダメージも強いという人もいる。
中国の合計特殊出生率は日本より低くなる恐れ?
実際のところ、中国の人口問題はすでに中国のタブーな話題の一つとなっている。
中国国務院人口調査と国家統計局が2021年5月11日に発表した10年に1度の調査報告によると、2020年の中国人口14億人のうち、中国大陸の新生児は1200万人で、2019年より18%下がり、中国共産党政権樹立以来の最も低い出生率となった。
中国最大のオンライン旅行代理店「携程(Trip.com)」の創業者梁建章氏は、中国の人口趨勢がグローバル範囲で最も深刻だと考えている。「中国の普通出生率と合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は今後10年で下降し続けるだろう」「強力な政策がなければ、中国の新たな出生人口は今後数年で1千万以下になる可能性が高く、合計特殊出生率は日本より低くなり、ひいては世界最下位となりかねない」
米ウィスコンシン大学マディソン校研究員の易富賢氏は英紙「ガーディアン」に対し、中国当局は生育補助において日本政府がかつてしたことをやっているが、日本政府と同じように無料の医療サービスや教育を提供することができず、人口危機を解決する難易度は1979年の「改革開放」より大きいとの見解を示した。
同氏は、経済の発展に伴い、中国の合計特殊出生率はさらに下がり、長期的に行われてきた「一人っ子政策」と重なり、中国人口は急下降し、高齢化危機もより深刻だと考えている。
同氏はさらに、中国は先進国と異なり、空中にいる飛行機のようで、突然の労働力不足は燃料不足に等しく、中国経済ないし世界経済に壊滅的なダメージをもたらすと述べた。
(翻訳・北条)