中華民国(台湾)が「リトアニアにおける台湾代表処」の開設を決定したことを受けて、中国共産党(以下、中共)政権の外務省は10日、駐リトアニア大使の召還や、リトアニア政府に駐中国大使の召還を要請した。リトアニア外務省は、中共当局の決定を「残念に思う」としながら、「台湾との互恵的な関係を発展させる決意」を強調した。
リトアニアは声明で、中共が大使の召還を決定したことに遺憾の意を表し、「一つの中国の原則を尊重する一方で、(リトアニアは)台湾との互恵的な関係を発展させることを決意している」と発表した。
リトアニア外務省の発表に先立ち、リトアニアのDovilė Šakalienė(音訳:ドビレイ・シャカリエネ)議員は、「中国(中共)は駐リトアニア大使の召還を決定し、我々にも中国からの大使の召還を求めてきた。我々は特別会議を開き、ビリニュス(リトアニアの首都)に台湾代表処を開設することを決定した」とツイートした。
リトアニア議会外交委員会のパヴィリオニス委員長は、「欧州連合(EU)のすべての国が北京主導の協力システムの採用を望んでいるわけではなく、中共がリトアニアを屈服させ、二流国にしようとしていることは完全に間違っている。我々は対等な関係を望んでいる」と述べた。
パヴェリオニス氏はまた、「中共がリトアニアに制裁を加えようとしていることに対して、リトアニアにとっての最善の対応は、民主主義国家と団結・友好関係を強化し続けることである。インド、オーストラリア、シンガポール、台湾など、中国周辺の技術的に最も進んだ国との関係を築いている。我々は技術が最先端で、民主主義の価値観を明確に守る国に焦点を当てることにしている」と表明した。
「駐リトアニア台湾代表処」は、台湾の名を冠した中華民国のヨーロッパにおける最初の代表処となり、中国の外交国に設立された最初の代表処にもなる。また、リトアニア外務省は、今年の秋に台北にリトアニア事務所を開設する予定だと明らかにした。実際、リトアニアは台湾への親善を繰り返しており、6月にはEU諸国で初めて台湾へのワクチン寄贈を発表した。
リトアニア政府は、台湾にワクチンを寄贈、事務所を設置、5月には北京主導の「中国と中東欧諸国協力(CEE、17+1協力)」から脱退、さらに最近では、欧州のパートナー国にも同様に脱退を呼びかけている。人口がわずか280万人しかない国にとって、中共に対してより強硬な姿勢を示していることは、米国の呼びかけへの応えと見られる。かつてソ連の支配下にあったリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国が、北京と距離を置くことは、普遍的な価値観や自由を優先する姿勢を示しているということである。
(翻訳・吉原木子)