河南省で発生した洪水によるインターネットや携帯電話の電波が途絶え、その結果、中国の人々が大きく依存しているモバイル決済ができなくなり、非効率性が疑問視されている。
中国成都メディアグループ傘下の日刊「毎日経済新聞(ナショナル・ビジネス・デイリー)」紙は23日夜、河南省の100万人近くの携帯電話が未だにつながらない状態になっていると報じた。
通信業界の関係者は、今回の河南省の豪雨では、過去に想定できなかった多くの困難な状況が発生し、その結果、一部の地域で通信の復旧が遅れていることを明らかにした。「事業者は多面的な緊急通信システムを構築しているが、突然の暴風雨に直面して、道路が冠水したため、停電の復旧も難航しており、一部の地域では緊急通信の確保は本当に難しい」
河南省のある住民は、電波がないため、携帯電話のウィーチャット(微信、WeChat)もモバイル決済も使えず、まるでインターネットのない時代に戻ったようだと語った。
また、ネット上の「都市が突然インターネットを失った時」というタイトルの記事も話題となっている。
同記事では、下記のようなシーンを紹介していた。
七里河畔にある生鮮食品スーパーでは、店主が店の前に気だるそうに座っていると、暗い店内から中年男性が玉ねぎや冬瓜を袋に入れて出てきた。重さを測ってみると、全部で約20元(約340円)だった。
店主は「現金でしか払えない」と言った。
男性は「アリペイ(支付宝、Alipay)が使えないの?」と聞いた。
店主は「アリペイを開けられるか?」と答えた。
中年男性は現金を持っていなかった。 バッグの中を探し回った結果、店主に市場価格で19元(約323円)程度のタバコを渡した。これは、第二次世界大戦後の経済が崩壊したドイツの人々は、貯蔵に耐え、分割しやすいタバコを「通貨」としてとらえていたことを思い出させる。
同記事はまた、インターネット技術の失効によって都市の秩序が乱れた。鄭州市は一夜にして2000年頃に戻ってしまったようだ。ほとんどのインターネット技術企業は、インターネット通信の基礎の上に、より緻密で便利な用途を構築している。しかし、その基礎がなくなったらどうなるのか、一回経験しないと誰にもわからない。
データによると、2020年には、決済システムが扱う決済業務は8,195兆元(約14京円)、銀行が扱う電子決済は2,352億回、決済機関が扱うオンライン決済は8,273億回、一人当たりのモバイル決済回数は615回になるという。
中国共産党政府は長年にわたって、モバイル決済とインターネット技術を強力に推進し、関連サービスを中国全土にカバーし、新たな秩序を作り出した。国民の個人情報、資金流動状況を全面的に把握する以外に、監視を実施しやすくするとともに、これらの技術を海外にも普及させようとしている。しかし、今回の洪水では、それまで築いてきた秩序が完全に崩壊してしまった。
(翻訳・徳永木里子)