新疆ウイグル自治区に380カ所以上の収容施設と疑われる場所があるという(イメージ:Australian Strategic Policy Instituteホームページより)

 新疆ウイグル自治区のダルバン城にあるウルムチ第3収容所センターを初訪問した際の報道を、AP通信が22日に発表した。今回の訪問は、中国政府関係者が全行程を率いて見学する中で、同収容所の監視区内の多くの不気味な細かい点を明らかにした。

 今年4月23日、AP通信の記者は、240の牢屋を持つウルムチ第3収容所センターの一部に初めて特別に立ち入ることができた。中国政府関係者は、囚人数を明らかにすることを拒否した。しかし、記者は、衛星画像や訪問中に見た牢屋やベンチなどから、約1万人、混雑すればそれ以上の収容が可能であると推測した。

 ウルムチ第3収容所の巨大な建築群は、青く塗られた高さ25フィート(約7.62メートル)のコンクリートの壁に囲まれ、監視塔やブンブンと鳴っている送電線があり、施設の総面積は220エーカー(約89万平方メートル)にも及ぶ、と同報道が指摘した。中国共産党の幹部が記者たちを正面玄関に案内し、顔認証式のゲートと軍の迷彩服を着てライフル銃で武装した守衛の前を通った。

 コントロールルームでは、壁に設置された監視モニターに、各部屋の映像が映し出されている約20のスクリーンをスタッフが見つめている。もう一つのパネルでは中国中央テレビ(CCTV)の番組が放送されている。番号と名札のついた囚人服を着た大勢のウイグル人が、上半身をまっすぐな姿勢で中国軍隊式のあぐらをかいて一列で座っており、中国共産党の党史に関するテレビ番組を見ている。

 椅子とパソコンが設置された22の部屋では、受刑者は弁護士や親族、警察官とビデオでのチャットを許されているが、全行程は椅子に縛られた状態で行われている。その中の1つのオフィスには、ウルムチ市検察庁の支局が入っており、これは、同施設が正式な刑務所システムに変わったことを示すもう一つの兆候である。

 近くの医療室には、担架、酸素ボンベ、薬の入った戸棚などがある。壁に掛けられたガイドには、病気になった囚人への適切な対処法や、ハンガー・ストライキ中の囚人の鼻にチューブを挿入して強制的に食事を与える方法などが書かれている。

 同収容所を訪れた外国メディアの記者たちは、拷問や殴打の痕跡を見ておらず、現在拘留されている人たちに直接話を聞くこともできなかった。しかし、新疆ウイグル自治区から逃れてきたウイグル人のズムレット・ダウット氏によると、同収容所で働いていた友人(女性、今は亡くなっている)のパリデ・アマティ氏がかつて、エジプト留学中にテロに関与したと自白書に強制的に署名させられた青少年を見たことがあり、その青少年は血まみれになるまで殴られていたという。

 別の収容所にいたケルビヌル・セディック氏によると、同収容所の教師も「地獄よりひどい」と語った。同教師は授業中、電気警棒や鉄の椅子で拷問されている人たちの声が聞こえてきたという。

(翻訳・徳永木里子)