フラグシップモデルであるMateシリーズの「HUAWEI Mate 9」(イメージ:Shwangtianyuan / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

 ポーランド当局者および業界筋によると、中国の通信会社従業員がスパイの疑いでEU当局に逮捕されたことを受け、ポーランド政府は、同国の5Gネットワーク建設計画からのファーウェイ排除を決定したという。

 「ポーランド政府関係者は、EU及びと北米の同盟国と今後について協議中だ。現在のところ、どの通信機器メーカーがファーウェイの代わりに採用されるかは決定していない」と同情報筋は述べた。

 匿名を条件に、ある政府高官は「スパイの逮捕は議論の終わりを意味する。中国メーカーがポーランドの5Gに参加することはないだろう」と語った。

 フィンランドのノキア、そしてスウェーデンの通信会社であるエリクソンは、ヨーロッパ東部最大の経済圏・ポーランドに5G通信機器を提供する可能性が高いヨーロッパの2大企業だ。

 ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領も、ファーウェイが排除される可能性について示唆している。
ドゥダ大統領は、ポーランドのウェブサイトmoney.plとのインタビューに対し「私は、アジアの生産者よりもヨーロッパの企業や米国の企業と協力する方が良いとの立場に立っています」と述べた。

 ポーランドは2週間前、ファーウェイの幹部とポーランドの元治安当局者をスパイ容疑で逮捕したと発表した。これを受けてファーウェイ側は同幹部を解雇した。

 ポーランドのある弁護士は「彼らは有罪ではないし、スパイではない」とロイター通信に語った。

 ファーウェイの当局者は先週、安全保障上の懸念に対処するためにポーランド当局と面会したという。
「われわれはポーランド政府とも協力し、当社の技術がポーランドのネットワークに脅威を与えることはありえないと表明してきました。当社の技術は接続性の向上に役立つと確信しています」

 ファーウェイは通信業界において、「5Gネットワーク(車や家庭用機器など、あらゆる機械を高速につなぐ次世代ワイヤレステクノロジー)」の領域で主導的な役割を果たしている。

 米国が「ファーウェイは中国政府の要求に従い、スパイ行為につながる可能性のある『バックドア』をネットワーク機器に仕込んでいる可能性がある」と警告したのを受け、一部の欧米諸国は、ファーウェイを排除する動きを見せた。

 ポーランドで進行中の大規模5Gテストはオレンジ社とTモバイル社が実施しているが、両社ともファーウェイの技術を採用している。これにも変更が加えられる可能性がある。

 Tモバイル、オレンジ、ノキア、エリクソンはコメントを控えた。

 昨年、ポーランドの国営通信企業・Exatel社は、コストの削減とネットワークの有効利用の観点から、国家的に共同事業体の設立を提案しました。

 電気通信の業界筋は、こうした選択肢が真剣に検討されていると述べた。この提案は、昨年12月1日にファーウェイの財務責任者・孟晩舟がカナダで逮捕された事件を受けてなされた。

 ポーランド国防相を務めた経験もあるトマシュ・シェモニャク議員は、次のように述べた。
「5Gネットワーク建設計画のため、ポーランドはファーウェイに代わり、国営企業またはコンソーシアム等とパートナー契約を締結する見込みです」

(翻訳・今野秀樹)