(左から右へ)朱允敏氏、呉淑栄氏、丁暁陽氏及び程慶民氏(米連邦捜査局(FBI)の指名手配より)

 米司法省は19日、2011年から2018年にかけて米内外の企業や大学、政府機関のコンピューターシステムに不正侵入した罪で、中国籍や中国在住の4人を起訴したと発表した。

 米国は19日、欧州連合(EU)、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本、北大西洋条約機構(NATO)と共同で、悪質なサイバー攻撃を行ってきた中国共産党(以下、中共)を非難した。米国の政府関係者によると、NATOが中共のサイバー作戦を非難したのは今回が初めてという。米国司法省は同日、中共の国家安全部に所属する中国人4人を、2011年から2018年までの間に米国内外の企業、大学、政府機関などの数十社のコンピュータシステムをサイバー攻撃した容疑で起訴したことを同時に発表した。

 起訴状によると、丁暁陽氏、程慶民氏、朱允敏氏の3人の被告は、海南省国家安全局の幹部で、中共国家安全部傘下のペーパーカンパニー所属のハッカーを統括し、中国および関連企業に利益をもたらすハッキング活動を行う責任者であった。もう一人の呉淑栄被告は、外国政府、企業、大学のコンピュータシステムをサイバー攻撃するためのマルウェア作成を担当した。

 今回の被害規模は米国、英国、スイス、オーストリア、カンボジア、カナダ、ドイツなどの12カ国にわたり、航空、防衛、政府、バイオ医薬品など様々な業界が標的となった。企業秘密の窃盗に関しており、潜水艦や自動運転車の製造に必要な機密技術や、中共の国有企業の契約確保に役立つ外国の情報などが含まれた。

 被告は、コンピュータ詐欺および経済スパイ行為の罪で起訴され、それぞれ最高で5年および15年の懲役刑が科される可能性がある。米連邦捜査局(FBI)は、この4人を指名手配した。

 リサ・モナコ米司法副長官は、中共が二国間および多国間の公約に反して、サイバー攻撃を利用して他国の情報を盗み続けていると述べた。北京のハッキング活動の期間と範囲から、「いかなる国や産業も安全ではない」ことが浮き彫りになった。

(翻訳・徳永木里子)