(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 1月上旬、国営の「中国社会科学アカデミー」が発表した論文によると、中国では2027年から人口減少が始まると予測されているという。

 以前より、中国の現地当局が出生率に関する偽のデータを報告しているというニュースがあった。それだけでなく、一部の専門家は「中国の出生率は急激に低下している」と指摘していた。

 ラジオフリーアジア(RFA)は1月16日、中国が2016年から一人っ子政策を廃止した際、山東省が「2人目の子供」の数が最も多い地域となったことを報じた。その数は2016年の中国の新生児のおよそ4分の1にも達していたという。

 しかし、国家統計局が発表したデータによって、それが事実でないことが明らかになった。青島、聊城、煙台、徳州など、山東省のいくつかの都市では出生数が大幅に減少していたからだ。たとえば青島では、2018年1月から11月の間に、出生率は21.1%も減少し、2人目の出生率は29%減少した(前年同期比)。

 RFAによると、中国南部の深セン市に所在する現代観測研究所の所長・劉開明氏は、さまざまなデータに基づいて、中国全土の出生率は劇的に低下したと述べたという。
「過去、年間出生数が2000万人を超えることもありましたが、今では約1500万人程度にすぎません」
「政府が2人目の出産を許可したにもかかわらず、出生率はいまだ減少しています。山東省はその典型的な例です。淄博(山東省の都市)での出生率は昨年比で26%も減少しました」

 世界銀行によると、過去数十年にもわたる一人っ子政策の実施後、中国の男女比は大幅に歪んでおり、男女比は115.4:100となっている。

 人口の高齢化と労働力の縮小という現実に直面した中国当局は、ギアを完全に切り替えることを決断し、一般家庭に対し出産を奨励した。

 中国のシンクタンク・中国国際化研究所の上級研究者であるHuang Wenzheng氏によると、中国の出生率はおよそ1.2(女性1人あたりの出産人数)であった。これが正しければ、中国政府の推定に反し、2027年よりも前に人口減少が始まる計算になる。

 ウィスコンシン大学医学公衆衛生大学の上級科学者・易富賢氏、そして北京大学国立経済研究センターのエコノミスト・苏剑氏も、同様の見解を発表した。彼らの最近の共同報告において、両氏は、中国はすでに2018年の時点で人口減少フェーズに入っているか、あるいは2019年中に入るかのどちらかであると予測した。

 易富賢氏はRFAに対し、「中国社会科学アカデミーが発表した論文は、中国の出生率が翌年以降も1.6(現在の出生率)以上であるという仮定に基づいている」と指摘した。しかし、同氏はこの率の維持は難しいと考えている。

 易富賢氏はまた、中国当局が出生率のデータを偽造しているとも付け加えた。中国国家統計局は2000年の国勢調査で、出生率は1.22であると発表したが、後1.8に変更したことがある。

 国家統計局が繰り返し誤ったデータを政府に報告しなかったなら、政権側はより早く「一人っ子政策」の危険性に目覚めたであろうと易富賢氏は指摘する。
「今こそ当局に説明責任を持たせる時です」と同氏は述べている。

 中国の出生率の低下は世界で最も劇的な現象の一つだ。清華大学エバーグランデ研究所によると、中国の出生率は1950年から2015年の間に、6.0から1.6へと低下した。なお、の間、米国では3.3から1.9、日本では3から1.4に低下した。

(翻訳・今野秀樹)