中国疾病予防管理センターは16日、中国で初めての「サルBウイルス」のヒト症例を発表した。患者は北京の霊長類研究機関に勤務していた53歳の獣医で、今年3月に死んだ猿2頭を解剖してこのウイルスに感染し、それから1ヵ月後(4月)に吐き気と嘔吐の症状を見せたことがわかった。その後、発熱や神経系症状が現れた。病院に通って治療を受けていたが、5月27日に死亡した。
サルBウイルスは、ヘルペスウイルスの一種で、感染した猿に噛まれたり掻かれたりしたり、または猿の分泌物が人の目の粘膜のようなところに飛ぶと感染する可能性がある。人から人へと感染できるウイルスで、致死率は70~80%にのぼる。
最初の症例の発見は、「サルBウイルス」が霊長類の獣医師、動物の世話をする人、実験室の研究者など。専門職の人たちに、脅威を与える可能性があることを意味する。
台湾疾病管制署の資料によると、感染症の最も典型的な臨床症状は、傷口に水疱ができ、続いて潰瘍ができ、約10~20日間で、高熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、めまい、嚥下困難、腹痛などの症状が現れ、その後、下半身から上に向かって進行性の麻痺が起こり、肺虚脱で死亡するとのこと。現在のところ、「サルBウイルス」に対するワクチンや効果的な予防法はないという。
(翻訳・吉原木子)