米国トランプ大統領(Michael Vadon / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0, )

 ワシントンのある有名研究者は「中国のエリート層はトランプ大統領を支持しており、同大統領からのプレッシャーが中国の改革を進めるために有益であると考えています」と語った。

 ハーバード大学アジアセンターの上級研究員であるウィリアム・オーバーホルト氏は、次のように述べた。
「米国のエリートはトランプ不支持ですが、大衆からの支持は厚いと言われています。一方、中国では中国のエリート層がトランプ大統領を支持しています」

 同氏は、中国で行われた講演でも次のように主張している。
「トランプ大統領は民族主義的であるため中国の大衆社会から嫌われています。しかし習近平国家主席を追いやる姿には好感を持たれているようです」

 オーバーホルト氏は大紀元紙に対し、次のようにコメントした。
「中国人は米国からの外圧が非常に役立つかもしれないと考えているのでしょう」

 同氏は、この状況はかつての日本と似ていると説明する。
「日本人は、どうしてもしなければならない事を、アメリカ人に『させられる』まで待つ傾向があります」

「学術エリートの間を中心に、中国には多くの習近平『不支持』派がいると思われます。彼らはさらなる改革と開放を望んでいます。それは習近平氏が望むことでもありますが、多くの中国人にとって、それは非常に、非常に遅い改革であり、実質的には終わっているようにも見えることでしょう」

 オーバーホルト氏は1月15日、戦略・国際研究センターにおいて、次のようにコメントした。
「中国の奇跡的な成長は限界に達しました。今後も継続的に成功するには、経済・政治の改革が必要です。輸出とインフラ投資に基づく古い経済戦略では、持続可能な経済成長は生まれず、財政債務が増大するだけです。現代の中国社会は、初期の奇跡的な成長を可能にした『破壊的変化』に抵抗を示しているようです」

 オーバーホルト氏は、中国が直面する経済的弱点にも言及した。具体的には、生産性の低迷、高水準の債務、不動産価格の低迷、民間経済の過度な競争、そして民間企業に対する行政指導の不足があげられるという。

 同氏はまた、中国共産党政権が統制の維持に躍起になる間、新たな政治的弱点や一般国民の政治的疎外が生じている点を論じている。

 オーバーホルト氏は、最後に中国共産党の現状を次のように言い表した。
「現在私たちが目にしているのは、あらゆる政治的実権を独占し、国民の支配を行う政党です」

(翻訳・今野秀樹)