(Lawrence Livermore National Laboratory, Public domain, via Wikimedia Commons)

 欧米諸国のハイテクに対する制裁に直面している中、北京当局は「自立」を主張し、外国への依存度を下げるために先進的なチップを自力で開発・生産すると宣言してきた。しかし、自力でのチップ開発は難航している。北京当局は、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング社の主力製品である極端紫外線(EUV)リソグラフィー・システムと呼ばれる露光装置について、中国企業による購入を認めるようオランダ政府に圧力をかけてきたが、米国の規制がこれに歯止めをかけている。これにより、中国とオランダ間の緊張感が高まった。

 「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙17日の報道によると、北京当局がオランダ政府に対し、ASML社が中国に「極端紫外線リソグラフィー装置」を輸出することを許可するよう求めてきたという。 同システムは先進的な半導体の製造に不可欠な装置だ。中共の元駐オランダ大使である徐宏氏は、オランダが中国へのリソグラフィ装置の輸出を禁止すれば、中蘭貿易関係を損なうことになると公に脅した。

 この重さ180トンにも及ぶ唯一無二の装置の価格は1億5,000万米ドル(約165億円)で、今のところ、米インテルや韓国サムスン電子のほか、アップルの主要サプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)などの企業に使われている。世界でもオランダのASML社だけが生産している。次世代のチップを作るための先決条件は、ASML社製の極端紫外線(EUV)リソグラフィー露光装置を備えなければならない。

 米当局者は「ウォール・ストリート・ジャーナル」に対し、トランプ政権時代から、米国の技術がある程度含まれる技術製品は、米国の輸出許可規制の対象としなければならないと定めていることを明らかにした。 2019年、トランプ政権はオランダ政府に、米国の同盟国としてリソグラフィー装置を中国に販売してはならないと伝えた。バイデン政権は安全保障上の懸念から、トランプ氏の政策を継続し、オランダ政府に対し輸出制限を要請している。

 科学研究の専門家によると、ASML社製オリジナルの同装置は、チップ製造に欠かせない重要な装置であるという。ハイエンドのリソグラフィー装置がなければ、中国のチップメーカーは最先端のチップを作ることができない。

(翻訳・藍彧)