中国共産党(以下、中共)は11日、CCTV(中国中央テレビ)のニュース番組『朝聞天下』で、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の発生源は米国であると再び責任を転嫁した。これも中共が昨年3月に、中国外交部の趙立堅報道官が提唱した、いわゆる「米軍の毒物投与説」の陰謀論を表明して以来の2度目の責任転嫁と見られる。
同番組は、米軍が2019年10月、中国湖北省武漢市で開催された「ミリタリーワールドゲームズ(世界軍事運動会)」に参加した際に、新型コロナウイルスを中国に持ち込んだと主張している。番組では、同ゲームに参加した5人の米兵が、新型コロナウイルスに感染したために、米国の特別便で本国に運ばれたと示唆していた。
これに対し、米国防総省は12日、中共の主張にはいかなる証拠もないとの声明を発表した。「米軍選手が2019年のミリタリーワールドゲームズに参加する前に、新型コロナウイルスに感染したという事例が確認されていないと、米国防総省は以前から明らかにしていた。 実際、中国(共産党)がウイルスの発生を認め、米国政府が渡航禁止令を出すまで、米軍が新型コロナウイルスに感染した証拠は1つもない」
同声明はまた、国防総省は新型コロナウイルスの発生源に対する調査を全面的に支持すると表明するとともに、WHOが要請したウイルスの2回目の発生源調査に協力するよう中共当局に呼びかけた。「但し、中共当局の完全な透明性があってこそ、初めて信憑性のある調査結果が出てくるだろう」
昨年2月23日の時点で、当時5人の米兵を治療していた武漢金銀潭病院の院長が、中国週刊紙『南方週末』の記者に対して、「軍事競技に参加していた5人の外国人(米国)選手は、マラリアに罹患し、新型コロナウイルスとは関係ない」と明らかにした。
政治的陰謀論を研究する米フロリダ大学のマーク・フェンスター教授は、ラジオ・フリー・アジアに対し、「中共が陰謀論を操作する動機は、第一に自国民の支持を獲得し、自分たちの悪事から注意をそらすこと。第二に人々の怒りをそらして不安にさせる『より邪悪な動機』であり、特に事実に対する人々の既存の偏見を利用し、ナショナリズムを操り、『邪悪な米国』という考え方を定着させることである」と述べた。
(翻訳編集・常夏)