米軍の最新鋭ステルス戦闘機F-22A(1st Lt. Sam Eckholm, Public domain, via Wikimedia Commons)

 米軍の政府専用輸送機が15日、台北市の松山空港に短時間滞在した。米国が軍機を派遣し台湾に外交郵便物を届けたのは、近年で初めて。ほぼ同時に、米空軍は、西太平洋で今月実施する軍事演習に25機の最新鋭ステルス戦闘機F-22を派遣するという。米国のこれらの動きは、中国共産党(以下、中共)を威嚇する狙いが明らかだと米メディアが指摘した。

 米軍の政府専用機「C-146A(ドルニエ 328)」が15日午前9時30分、台北市の松山空港に着陸した。台湾にある米代表機関、米在台協会(AIT)台北事務所に荷物を届けた後、午前10時7分に離陸した。米台間の外交バッグを政府専用機で運送するというのは、近年で初めて。今年6月、米軍輸送機C-17が3名の議員を乗せて台湾に着陸して以来、再び米軍機が台湾に着陸した。

 米在台協会及び中華民国国防部、外交部、行政院などの台湾政府機関は、同事件に対するコメントが少ない。一方、中国国防部は「重大な懸念を表明する」としたうえで、「いかなる外国の軍用機も、我が領土に着陸するには、中華人民共和国政府の許可を得なければならない」と表明した。
これに対し、中華民国立法院外交・国防委員会委員の王定宇氏は、米政府専用機の台湾着陸に、台湾が外交における自主権を持つことを示す意義があるとコメントした。同氏は「この一件で、米台の関係は中共の虚しい『レッドライン』や意味のない『懸念』で限られるものではないことを示した。台湾は、自分の国土に誰を歓迎し、誰を拒絶するかを決める権利がある。アメリカも、台湾との関係性を決める権利がある」とも述べた。

 一方、ハワイ州を本拠とする米国の太平洋空軍は今月、軍事演習「パシフィックアイロン2021」のため、25機のステルス戦闘機F-22をグアムに派遣すると、米軍の準機関紙『星条旗新聞』が14日報じた。同報道は、これらの戦闘機は、中共との衝突で「素早く扉を蹴とばす」のに役立てるとも報じた。

 愛称が「ラプター(猛禽類)」のステルス戦闘機F-22は、第5世代ジェット戦闘機に分類される世界初の量産型ステルス戦闘機で、現代戦闘機における「頂点に立つ作品」と評価される。最大飛行距離が3220キロメートルのF-22は、多くの空対空・空対地ミサイルを搭載でき、その優れたステルス性、機動性、精確性及びシチュエーションアウェアネス(態勢感知)能力によって、第5世代以前の戦闘機に対する絶対的な優勢を維持している。

 前米国太平洋軍副司令官のダニエル・リーフ氏は今回の派遣について、米軍が軍事演習にF-22戦闘機をこれほど多く派遣した実績があるかは明確ではないと述べた。同氏はまた、F-22戦闘機は、米国空軍が第一次世界大戦から所有し、柔軟性と遠征能力に優れた戦闘機であるため、これを複製できない中国側は、必ずこの事件を念頭に置くだろうとコメントした。

 『星条旗新聞』の報道によると、今回の演習は「威嚇」を狙いとする。中共との衝突が発生する場合、F-22を始め最新鋭のセンサーを搭載した米軍のステルス戦闘機が、全方面の対空・対地の打撃と抑制を行うと同報道が報じた。

(翻訳・常夏)