デスバレー(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 米国、カナダの太平洋岸北西部は、6月末から未曾有の熱波に見舞われた。多くの州で史上最高気温が繰り返し更新され、熱中症で急死した人も続出している。米カリフォルニア州のデスバレーでは、9日に摂氏54.4度(華氏130度)が観察され、昨年8月の記録に並んだ。また、同州北部の山では、火災積雲による雷で山火事が発生した。米国国立気象局は、カリフォルニア州とネバダ州の気温が過去最高になると予測し、西部地域に12日夜までの「超高温注意報」を発令した。

 猛烈な熱波が米国西部を襲い、10数日間にわたって続く高温が人々の健康や命さえも脅し、熱中症で死亡した人が各州から続出していると、複数のメディアが報じた。

 カリフォルニア州のデスバレーの9日の最高気温は摂氏54.4度となった。昨年8月16日と同じく、1913年7月のデスバレー、31年7月のチュニジア中部ケビリでの記録に次ぐ暑さとなる。

 気象学者は、このような高い気温は日暮れ時になってもなかなか下がらず、平均温度より15度から25度高いと述べた。また、米国西部の各州では今後も暑さが続き、さらに記録を更新する可能性があるという。

 また、カリフォルニア州の森林火災の範囲も、222平方キロメートルに及ぶと倍増した。現地で消火活動を担当している消防士によると、非常に乾燥した環境で火災が発生したため、飛行機から投下された消火用の水爆弾の大部分が地上に到達する前に蒸発してしまった。現在、火勢の8%しかコントロールできておらず、さらに何日も続くと予測された。

 今回の熱波はカナダ西部のブリティッシュ・コロンビア州をも襲ったため、500人近くが猛暑で急死した。死者の多くは、風通しの悪い場所で一人暮らしをしていた高齢者である。先週、同州を襲った記録的な猛暑の影響で、カナダ西部の海岸ではムール貝やアサリなどの海洋生物が、大量に「暑さで死んだ」と見られる。

 太平洋岸北西部で発生している熱波について、科学者たちはこれまでのところ「前例がない」と言っている。

(翻訳・徳永木里子)