7月1日の中国共産党(以下、中共)結党100年記念式典で、習近平総書記は約1時間にわたるスピーチを行いましたが、内容は昔から何回も何回も繰り返して話してきた共産党の自画自賛のもので、新鮮な内容ありませんでした。しかし、習近平氏の一言は日本を含むいろんな西洋メディアに大いに報道されました。英語のメディアには「習近平氏、中国をいじめようとする者は「頭が壊れ、血を流すことになる」と警告」と報道され、日本のメディアには「鋼鉄の長城にぶつかり血流すだろう」「中国を抑圧するものは、偉大な鉄の壁に(中略)頭を打ちつけることになるだろう」などと報道されましたが、いずれも正確に報道されてありません。この言葉は習近平が外国に敵意を持つ戦狼的な言葉で、あまりにも血生臭い言葉だからわざと正しく翻訳してないか、あるいは英語や日本語にはこのような表現がないから正しく翻訳できないかもしれませんが、とにかく、習近平氏の本来の意味が正しく翻訳されてないので、今日は、習近平のこの戦狼的言葉を読解してみます。
習近平の元の話は「中國人民也絕不允許任何外來勢力欺負、壓迫、奴役我們,誰妄想這樣幹,必將在14億多中國人民用血肉築成的鋼鐵長城面前踫得頭破血流!」です。中国語ではこれを日本語に直訳すれば、「中国人民は、いかなる外国勢力が我々に対するいじめ、抑圧、支配も決して許さない。そのようなことをしようと妄想する者は、必ず14億人以上の中国人民の血と肉で築かれた鋼鉄の長城にぶつかって、頭が割られ、血まみれになる」となります。このような話は、中国にいる時には、聞いても可笑しいと思ったことがなく、私もこのような話をしたことがありますが、現在聞いて見ると、非常に血生臭く、言葉には論理的な問題があります。
中共の戦狼外交が全世界に嫌われていから、習近平氏は今年5月31日、「信頼され、愛され、尊敬される」中国のイメージを作り、友好国の輪を拡大したいと中共幹部に伝えたことがありますが、習氏はこのように話すことはできますが、このようにすることはできません。習氏と中共幹部たちにはこのようなやり方はわからないです。習氏のスピーチの原稿は、おそらく習氏が自ら書いたものではなく、習氏の指示を受けて、秘書やシンクタンクが書いたでしょう。中共のシステムがこのようになっています。特に、現在の中共トップ7人は、みんな紅衛兵出身です。彼らの成長環境により、彼らはこのような人間になったのです。
習氏は9歳の時、父が右派として批判されたため、習近平は「狗崽子」(狗の子)だといじめられ、13歳の時、父と一緒に農村に追放されました。皆さんはいじめられた経験があるかもしれませんが、いじめられる人の心理はどんな状態でしょうか。抵抗、恨み、疑い、劣等感などのような心理が形成されるでしょう。韓国人には3歳の時の癖は老死するまで直らないという諺があります。現在の習氏の言動には抵抗、疑い、恨み、劣等感などの特徴があります。習近平が15歳の時に文化大革命が発生し、紅衛兵による造反、暴力などが横行していました。造反とは、すべてに対する造反です。毛沢東には「造反有理」という言葉があります。「反逆するには道理がある」「謀反を起こすことは正しい」という意味です。この言葉は文化大革命時期に政治スローガンとして、紅衛兵などの「造反派」に盛んに使用されていました。また、造反派は理不尽で、人をののしる下品な言葉で喧嘩したり、先生や幹部などを批判したりすることもいたるところで発生していました。日本では下品な言葉はあまり聞こえないですが、中国では現在でもごく普通に聞こえます。習氏が中共結党100年記念日のスピーチで話した血生臭い言葉は、中国では可笑しくありません。中共の教育を受けた人たち(政府の幹部から一般市民まで)誰でもこのような言葉を話せます。
習氏のこの言葉には三つの内容含まれています。まず、「いかなる外国勢力が我々をいじめ、抑圧し、支配することも決して許さない」です。現在、私たちは中国の外にいるから、各国の状況をよく知っていますが、現在、中国をいじめようとする外国勢力はあるでしょうか。ないですね。中共自身も中国をいじめようとする外国勢力はないとはっきり知っています。だから、外国勢力とは具体的に誰かははっきり言わないです。これは中共が中国人を騙す最も代表的な手段です。幻のような敵を作り出して中国人に恨ませるのです。しかし、中国国民は真剣に考えてみることなく、中共の宣伝をそのまま信じます。信じざるを得ないです。心では信じなくても、表には信じなければなりません。公に疑問を持つと、ひどい目に合うから、誰も反対する勇気がありません。
実は、中国国民をいじめ、抑圧し、支配する外国勢力は他でもなくで、中共自身です。中共はドイツ人マルクスが創立したもので、旧ソ連のレーニン、スターリンの具体的指導と経済的、武力的援助によって成立されたものです。1921年中共結党後、党幹部の給料や活動費用は全部旧ソ連の共産党から援助してもらったのです。中共結党100年の7月1日前に、習氏はロシアのプチン大統領とオンライン会談を行いましたが、プチン大統領は中共はソ連の援助のもとで成立されたことを自分は忘れていないと話したことがあります。中共は正真正銘の外国勢力です。しかし、習近平が外国勢力というのは、実はアメリカを指しています。しかし、アメリカは中国をいじめたことはなく、逆に、中共はアメリカの支持によって政権を握ることができたのです。中国国内戦争の時、共産党は国民党の相手にならないため、滅亡の状態になったとき、アメリカは国民党を放棄して共産党を選んで支持したのです。また、米中冷戦も、アメリカのニクソン大統領が終わらせ、中国がWTOに入ることができたのも、アメリカのクリントン大統領のおかげです。そのあと、中共は米中貿易において、ずっと出超で、アメリカから利益をむさぼり、著作権の窃盗、知的財産の侵害、サイバー攻撃、スパイ活動など、不正な手段でアメリカから利益を得ていました。また、環境汚染、毒食品の海外への輸出、特に今回の武漢肺炎の海外への拡散など、すべての国をいじめているのは中共勢力自身です。中共は恩を仇で返すのです。日本のメディアを含む世界各国のメディアは、このことについて報道しないです。おそらく、このように分析できる記者や政治家がいないからでしょう。中共の嘘を見破ることは簡単ではありません。私は何回も言いますが、中共の話は反対方向に理解しなければならないです。
また、「そのようなことをしようと妄想する者は、必ず14億人以上の中国人民の血と肉で築かれた鋼鉄の長城にぶつかって、頭が割られ、血まみれになる」ということは、いったん外敵と戦争が発生すれば、14億の国民の肉体を盾として犠牲させるということです。皆さんも中共の「海上民兵」のことをお聞きになったことがあると思いますが、現在の海上民兵は軍隊ですが、本当に戦争が起きれば、先頭に走っている民兵船に乗っている人は軍隊ではなく、おそらく普通の人でしょう。中国内戦の時、中共はこのやり方で中華民国政府と戦争しました。中共は大量な民衆を拉致して、解放軍の前に歩かせて、政府の軍隊に向かって進みました。政府の軍隊は射撃することはできなかったです。尖閣諸島のため、日中戦争が発生すれば、中共は「中国人民の血と肉で築かれた鋼鉄の長城」を漁船や民兵船に乗せてくる可能性は十分あります。日本は前もって対策を考えなければなりません。
また、「頭が割られ、血まみれになる」という言葉は、文化大革命の時にごく普通に使われていた言葉です。しかし、外国に向かって、公に使っていることは珍しいです。江沢民時代にも、胡錦涛時代にも、このような血生臭い言葉は使ったことがないです。少なくとも、私は聞いたことはありません。これは現在の紅衛兵出身の中共トップたちならではのやり方です。中国語には「天不怕、地不怕」という言葉があります。直訳すれば、「天をも地をも恐れない」で、「向こう見ずである」ということです。毛沢東は自分の権力を守るために、50年前、向こう見ずで、何事も恐れない「天不怕、天不怕」の紅衛兵を作り出しました。毛沢東は当時紅衛兵を利用して、自分の権力は守れましたが、50年後の現在、中共政権は、紅衛兵によって全部崩壊されそうになっています。これは毛沢東が想像できなかったことでしょう。中国語には「物極必反」という言葉があります。「物事は極点に達すると必ず逆の方向へ転化する」ということです。現在、習近平と中共は極点に達しています。現在、日本を含む多くの国の主流メディアが習氏のこの発言を盛んに報道し、議論しています。これから事態はどのように発展していくか見てみましょう。
(李真実チャンネルより転載)