先日から、イギリスの空港で、赤い首輪をつけたゴールデン・ラブラドールの「タラ(Tala)」ちゃんが巡回しています。空港スタッフは、着陸した乗客から採取した検体を密封瓶に入れて、タラちゃんに嗅ぎ分けさせます。スタッフはタラちゃんの確認で、問題なかった乗客のみを通過させています。
タラちゃんを始めとする探知犬たちは、イギリス保健省が提供した資金で、新型コロナウイル陽性者を検出するよう訓練された、「新型コロナ探知犬」チームのメンバーです。このチームは、探知犬育成団体「メディカル・ディテクション・ドッグス(MDD)」に所属しています。2008年にクレア・ゲスト(Claire Guest)博士によって設立されたMDDは、犬の鼻を使った人間の病気の発見に力を入れています。ゲスト博士の論文によると、訓練された犬は、特定のにおいを嗅ぐことによって、1型糖尿病患者を正確に識別することができ、パーキンソン病やマラリアなどの病気の発見、そして癌検出の能力も一流だということです。
新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎、COVID-19)が世界的に流行した後、ゲスト博士のチーム、ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)とダラム大学は、イギリス保健省から一部資金提供を受けて、新型コロナ探知犬についての共同研究と探知犬の訓練を実施しました。タラちゃんは最初に訓練を受けた6頭探知犬のうちの1頭でした。これらの訓練された犬は、新型コロナウイルスを徹底的に匂いで嗅ぎ分ける第一段階のテストで、精度が94.3%という結果を出しました。また、PCR検査の精度は97%であるのに対して、探知犬のこの結果は期待以上でした。そして最も重要なのは、探知犬が既存の検査方法よりも速いこと、又、1時間で250人近くを選別することができるということです。
ゲスト博士は、「探知犬は、新型コロナウイルス検出の精度が高く、PCR検査の前のスクリーニングとして使用することができます。将来的には、新型コロナウイルス感染症のまん延防止が可能になり、元の生活に徐々に戻れることが期待できます」と述べました。
イギリスのほか、フィンランド、フランス、レバノンでも「新型コロナ探知犬」が登場していますが、いずれも現在は実験段階にあります。
(翻訳編集・玉竹)