6月26日、政府機関前でデモを行っている火災犠牲者の遺族たち(中国SNSより)

 中国共産党創建100周年を迎えるという敏感な時期、中国では事故が多発している。25日、河南省商丘市のある武術館で火災が発生し、18人が死亡、16人が負傷した。死亡者には7歳から16歳の未成年者も含まれているという。

 河南省商丘市柘城県にある「震興国際格闘技クラブ」で火災が発生し、犠牲者の遺族たちは26日、政府機関前でデモを行った。ネットユーザーが投稿した動画によると、数十人の家族が歩きながら当局に火災事故の究明と、遺体確認を求めた。喪服を身にまとった遺族は「生きているなら人を、死んだのなら遺体を確認させろ。保護者に説明しろ」という横断幕を掲げている。その真正面、数列の警備員が政府機関の門前に立ち、遺族らと対峙している。

 火災が発生した後、河南省党委員会の書記である楼陽生を含む政府関係者らが急いで火災現場に駆け付け、素早く対策したということに焦点を当てて、公式メディアは報じたが、火災現場の写真、火災の原因などの情報を控えた。

 皮肉なことに、同じ時間帯に米マイアミの高層ビル崩壊事故が、公式メディアや中国のSNSウェイボー(微博、weibo)で集中的に報じられた。これ対し、民間では疑問や批判の声が高まっている。

 「米国のことは私たち国内の問題より重要か。アメリカ人の命は価値があって、中国人の子供は死んでも、知られる価値もないか。報道を控えれば、事故の存在をもみ消せるとでも思っているのか。このような事故を多くの人に知ってもらうことこそ、より大きな関心を抱くことになり、類似事故防止につながるのではないだろうか」

 7月1日は党創建100周年記念式典が行われる予定。不穏な事件や事故が相次いで発生しているにもかかわらず、中国当局はいわゆる平和でめでたい雰囲気を取り繕っている。

(翻訳・吉原木子)