中国共産党(以下、中共)国家安全部の董経緯副部長のいわゆる「離反して米国に亡命」したという「噂」に対して、中共政権は18日午前、董氏が会議(スパイ対策シンポジウム)に出席したと発表したが、本人が映っている写真を公開しなかった。米メディアによる逃亡の詳細を暴露した報道と対照的であり、真相をますます混乱させた。中共の一貫した政治的裏操作でのやり方や、最近行った一連の動きに、党創建100年の際、党の崩壊、政権の不安定さを感じさせる。
習近平総書記が8日、青海省を視察した時、中共党員に、「入党する際誓った言葉『党に永遠に忠誠を誓い、裏切らない』ことを忘れず、九死しても党に従う決心に揺るぎない」ことを求めた。
中共機関紙・誌の一つである「求是(きゅうぜ)」は11日、2014年から2021年までほぼ毎年の習氏の「忠誠」に対する講話を振り返り、党全体の「忠誠心」の重要性を強調する評論記事を掲載した。
「人民日報」も15日、同じタイトルの記事を掲載し、「党の信仰への忠誠、党の組織への忠誠、党の理論と路線方針への忠誠」という、 忠誠に関する3つの現れを強調した。
中共中央政法委員会のウィーチャット(WeChat、微信)パブリックアカウント「長安剣」は18日、董氏のスパイ対策シンポジウムの主宰を務めていた際、「国家安全部はスパイだけではなく、『裏切り者』や『裏の金主(きんしゅ)』を捕まえる必要がある」と宣言した。「裏切り者」とは、間違いなく党員・幹部による党やその指導者への裏切りを意味する。
18日、習氏は中共幹部らを党史展示館へ連れて行き、いわゆる「党の秘密を守る」「党を裏切らない」などの「党の誓い」を顧みた。
中央規律検査委員会ウェブサイトでは19日、中共の初期の指導者である顧順章が蔣介石に亡命した経緯に再び言及する記事を掲載した。記事では「絶対に党を離反しない」ことを4回も強調した。
実際のところ、党創建100年は盛大に祝われるだろうが、今では中共自身が「裏切り者」や「反逆者」を捕まえるという話題を作り出している。特に蔣介石に亡命した顧順章の古い話を蒸し返すなど、異常としか考えられない。
これは、中共が、一方では国際的な孤立、制裁、国内国民の不満という危機に直面し、他方では重要な秘密を握る党高官の離反という問題に直面していることを意味している。
また、ここ数年の習政権の腐敗対策は、党内の異なる派閥を怒らせ、反習近平勢力が習近平本人を常に脅かしているなど、内紛が絶えない状況である。習氏は「党への忠誠」を頻繁に口にし、特に「党を裏切らないこと」を強調しているが、実際「習氏への忠誠、習氏を裏切らない」という隠しセリフが含まれているのだ。
(翻訳・吉原木子)