(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国国家安全部副部長の董経緯が近日、「米国に亡命した」という噂がネットで話題になっている。アメリカの保守的な政治ブログ「レッド・ステート(Red State)」は18日午前(日本時間)、中共の反スパイ幹部である董経緯が米国に亡命し、その亡命経緯を明らかにした。一方で、中国共産党(以下、中共)の公式メディアは同日午前、董経緯は反スパイに関するシンポジウムを開催したと報じたが、董経緯が映った写真は公開されなかった。

 中共中央政法委員会の公式ウィーチャットアカウント「長安剣」18日の記事によると、董経緯は同日午前、『反スパイ安全防犯工作規定』についてのシンポジウムの司会進行を務めた。しかし、同記事には董経緯の写真がなく、中共機関紙の記事にしては異常だ。

 一方、「レッドステート」は同日午前10時に、「アメリカ国防情報局(DIA)に数ヶ月間協力している中共亡命者の名前と、中共軍隊や中国政府におけるポジションなどの詳細情報を把握できた」と報じた。

 同報道によると、アメリカに亡命したのは、中国国家安全部副部長である(反スパイ工作担当)董経緯だと、米政府の情報筋が明らかにした。2月中旬、董はカリフォルニア州の大学に通っている娘を訪問した。カリフォルニア州に到着した董はすぐに、DIAの関係者に連絡し、自身の亡命計画と把握した情報を伝えた。その後、約2週間公の目から身を潜めた後、DIAの計画に従って姿を消した。最近になってようやく中共高官が亡命した噂が立った。これまで、DIAは董の提供した情報を審査し、情報元を伏せた状態で米政府関係者に情報を提供した。

 「レッドステート」の情報筋によると、3月にアラスカで開催された米中外相会談の期間中、中共代表は董の送還を繰り返し要求したという。しかし、国務長官のブリンケン氏は当時、董がアメリカにいることを知らかったため、「董はアメリカにいない」と言って要求を拒否した。

 米メディア『ワシントン・フリー・ビーコン』は、董の提供した情報内容と情報数、その信ぴょう性に詳しい情報筋によると、「中国の特殊武器システム、中国軍の武漢ウイルス研究所での動き、新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎、COVID-19)の起源に関する情報、そして中国政府のアメリカでの資産と経緯に関する詳細情報を、董が把握している」と報じた。具体的には、中共による新型コロナウイルスの早期発症研究、COVID-19によるアメリカや世界への伝染や、破壊を予測するモデルなどが含まれている。

 また、董がDIAに提供した膨大なデータには、アメリカの情報界と政府関係者を大変困らせる情報も含まれているという。コロナウイルスの研究とその他のバイオワーズの研究に資金提供した、政府や組織を詳しく記載した財務記録、中共に情報提供したアメリカ国籍保持者やアメリカにいる中共スパイの氏名、中共政府からの資金援助をうけたアメリカのビジネスパーソンと、政府関係者の財務記録なども含まれている。

 米中メディアの相反する報道に対し、時事評論家の唐靖遠は「今日(6月18日)、米中メディアの報道戦が始まった。米メディアは、董の亡命を証明し、董が把握している情報に関する詳細を明らかにした。一方、中共のメディアは、董が18日に国家安全部のシンポジウムを開催したとの報道を出したが、それを証明できる写真や動画はなかった」とツイッターに投稿した。

(翻訳編集・常夏)