ロイド・オースティン米国防長官(パブリック・ドメイン)

 ロイド・オースティン米国防長官は9日、中国共産党(以下、中共)による安全保障上の課題に効果的に対処するため、軍の考え方・計画・組織のあり方を改善するための内部指令を発表した。

 国防総省のジョン・カービー報道官は「これらの行動は、中共への対抗を高く位置づけし、新しい組織構造を導入して軍の能力を向上させると同時に、同盟国とのパートナーのネットワークを再活性化し、抑止力を強化し、新しい作戦コンセプトの開発を加速させるためでもある」と述べた。

 米国は近年、中共への対抗を国家安全保障政策の中心に据えており、中共のスパイ活動や科学技術の盗用、5Gネットワークなどの技術操作にも懸念を示していると報じられた。また、米軍は中共を「一定歩調の脅威」と見なしており、中共の軍事発展のペーシングを米軍の発展の指標としている。そのため、米国と中国は技術・人権・軍事作戦などあらゆる面で競争している。

 国防総省の高官が記者団に対し、米軍は中共などの潜在的な敵対勢力から防衛するために、計画通りに極超音速兵器の開発を進めており、2025年頃、あるいはそれより早く、陸・海・空の攻防用の極超音速兵器を製造する計画中であると述べた。

 5月、バイデン政権の国防予算では、中共を抑止する太平洋抑止力構想(PDI)向けに50億ドル(約5500億円)以上の支出を要求した。レーダー、衛星、ミサイルシステムに資金を配分し、インド太平洋地域における米国の戦争即応性を高めることを目標としている。

(翻訳・徳永木里子)