2015年以前のワシントン・ポスト本社ビル(Daniel X. O'Neil from USA, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

 米国の左派メディアはこのほど、2020年の新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎、COVID-19)の発生源について、大きな方向転換を見せている。著名な左派メディアであるワシントン・ポストは1年前の記事を修正し、「陰謀論」という言葉を削除した。武漢ウイルス研究所流出説は、もはや「陰謀論」ではなく、単に調査すべき問題であることを示唆した。

 同記事は2020年2月17日に掲載され、ウェブページには最新の更新情報が表示されておらず、「修正声明」は1日にアップされたものと思われる。米政治専門紙「ザ・ヒル」とFOXニュースは1日に修正声明を最初に発見して報道した。その後、複数のメディアがこれを取り上げて報道し、今回の修正声明に注目が集まっていることがわかった。

 掲載された当時の原題は「Tom Cotton keeps repeating acoronavirus conspiracy theory that was already debunked(意訳:トム・コットン氏、すでに論破されたコロナウイルス陰謀論を繰り返し語っている)」であった。現在は「Tom Cotton keeps repeating acoronavirus fringe theory that scientists have disputed(意訳:トム・コットン氏は、科学者の異論があるコロナウイルスのフリンジ理論を繰り返し語っている)」に変更された。原題から「debunked(論破された)」と「conspiracy theory(陰謀論)」の文字が削除された。

 ワシントン・ポストは、「同記事の前のバージョンとその見出しでは、コロナの起源に関するトム・コットン上院議員(共和党、アーカンソー州選出)のコメントを不正確に記述した。『debunked(論破された)』という言葉やワシントン・ポストが使っていた『conspiracy theory (陰謀論)』を削除した。当時は現在と同様にウイルスの起源を確定できないからだ」と、読者に注意を促す修正声明を発表した。

(翻訳・徳永木里子)