主要7カ国(G7)財務相会合は5日、米国が提案した多国籍企業を対象とする各国共通の最低法人税率を、15%以上に設定することで歴史的な合意に達した。これにより、大手多国籍企業が低税率地域に利益を移転することに歯止めがかかるとともに、その事業を展開する地域でより多くの税金を納めることになる。
同協定は、米国、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、日本、欧州連合(EU)が共同署名したものであり、新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎、COVID-19)のパンデミックによる債務の返済に使える税収が、数十億ドル増える見込みである。
コロナの発生以来、世界の債務残高は急増している。国際金融協会(IIF)が発表したデータによると、2020年には17兆ドル(約1,860兆円)の世界債務が新たに増え、世界の債務総額は275兆ドル(約30,120兆円)となり、世界の政府債務残高の対GDP比率は2019年の90%から2020年の105%となった。この増加の多くは、政府の借入が大幅に増加したことによるものであり、先進国がその主体である。米国は世界の債務残高増加の半分近くを占めている。
G7の財務相らが、世界の最低法人税率を15%に設定した動きは、多国籍企業、特にテック大手に、コロナで大きな打撃を受けた政府へより多くの税金を納めてもらうことを目的としている、と「ドイチェ・ヴェレ」が分析した。
グーグル、アマゾン、フェイスブックなどの大手多国籍企業からより多くの税金を徴収することにおいて、先進国は長年にわたり合意に達していなかった。現在、多国籍企業は比較的法人税率の低い国で現地法人を設立し、売り上げを申告することができる。つまり、売り上げの大多数が他国によるものであっても、現地の税率で納税できる。これは合法であり、よく見られる租税回避のやり方である。
国際連合の推測によると、多国籍企業による利益移転により、各国政府は毎年5,000億ドル〜6,000億ドル(約66兆円)の税収を失っている。
(翻訳・徳永木里子)