漢王朝時代の距離を測る記里鼓車(パブリック・ドメイン)
精巧な設計―酒山
皇帝は外出する時、天子の身分を示すため、必ず盛大な儀仗隊が付きます。馬待封はこの儀仗を作りました。
また、馬待封は皇帝のために酒盃と酒山(お酒をよそう器)、銭筒(貯金箱)等を作りました。これらの器具はすべて銀で作られ、酒山と銭筒には機械設備も入っているようです。
酒山は木造のお皿の上に立っており、そのお皿の下には大きな亀がありました。すべての機械構造は亀のおなかの中にありました。酒山には四つの扉があり、風が酒山の中に入ると酒山の中にある装置が動き出します。そのとき、酒山の外側ではお酒が泉のように絶えずに流れ、酒盃などによそわれます。そして、装置の調節で酌をする人形が出入りしたりすることもできました。
酒山の高さは約3尺で、高くそびえたつ山々が重なり合う形をしていました。酒山の中は空洞で、3斗のお酒が入ると言われています。山の周りには池が並び、池の外にもう一層の山がありました。池の中には鉄製の蓮があり、蓮の葉には肉製品や果物などが盛られていました。
酒山の頂上には二階建ての楼閣があり、自動で開く扉が付いていました。酒山の南側には一匹の龍があり、山の中に身をひそめ、頭だけ出しています。龍の口から酒が出るように設計されていました。龍の下には大きな蓮の葉があり、上には杯が置いてありました。龍は杯の八分までお酒を注ぐと、注ぐのをいったん止めます。その間に人々はお酒を飲む必要がありました。飲むのが遅いと楼閣の中から人形が現れ、手に持った板をたたいて早く飲むよう催促してきます。一杯のお酒を飲みほして杯を蓮の葉に戻すと、人形は自動で戻っていきます。
酒山の周辺には自動で傾く杯も設置されていました。お酒がない時に杯は傾き、半分だけお酒が注がれるとまっすぐになり、満杯に注ぐと逆さまになってお酒をすべて池の中に戻します。これは孔子廟の中にある機械をまねて作られたものであり、君子は中庸でなければならないと説いています。
(おわり)
(文・洪熙 / 翻訳・謝如初)