近年、中国の若者に「躺平(タンピン)」という現象が蔓延しています。「躺平」とは、「横になる」という意味です。結婚しない、子供を産まない、家や車を購入しない、生計維持のための最低限の仕事しかしない、こうした「躺平」は、若者の間で瞬く間に幅広い共感と支持を集めました。
ネットユーザーは、こうコメントしています。「私たちは、小さい頃からしっかり勉強するよう教育されてきました。大人になればいい仕事を見つけ、職場に入れば、会社の経営者のためだけでなく、支払う税金を通じて政府や社会のために働かなければなりません。子供にも同じことを伝え、自分が歩んだ人生の道のりを子供にも繰り返させます。子どもの次の世代もまた同じ事の繰り返しで、まるでケージに閉じ込められたハムスターのようです。回し車をスピーディーに駆け回していますが、最後まで、そこから抜け出ることはないのです」
「躺平」主義の蔓延は、中国共産党と企業家を悩ませています。中には、これを中国共産党政権への無言の反抗と受け止める人もいます。
中国共産党の機関紙は、率先して非難しました。「光明日報」20日付の記事では、一部の若者の生活態度が非常に消極的で、社会や経済の発展に多くの弊害を及ぼすと考えられることから、これを警戒すべきと主張しました。新華社も「奮闘すること自体が幸せであり、奮闘した人生こそが幸せな人生と言える」という意見です。
ドイツ在住の中国人時事評論家で作家の長平氏は最近、「ドイチェ・ヴェレ」の評論記事で「現代中国の若者に流行っている『躺平主義』は、一昔前の世代のいうネガティブ思考や向上心のなさとは異なる。積極的に選択しており、そこに反抗的な行動という意義がある。これは、残酷な現実社会に対する無言の反抗であり、他にどうしようもできない無力感の表れである」と指摘しました。
(翻訳・北条)