(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国国家衛生健康委員会は、新型コロナウイルスのワクチン接種は強制的ではないと公言しているが、各地方当局が様々な方法で住民にワクチン接種を強制している形跡があった。甚だしいことに、雲南省や上海市の一部のネットユーザーは、当局による監視が街道弁事所(注1)までに導入されていることを発見した。

 雲南省のネットユーザーは28日、ワクチン接種を要求する電話を受けたというメッセージを投稿した。「街道弁事所のワクチン接種の進み具合を遅らせたと言われた」

 同ネットユーザーは、街道弁事所でのワクチン接種の遅れがバレただけでなく、中国共産党のプロパガンダツールである『学習強国(注2)』を定期的に読んでいることまで把握され、電話が終わる前に「『学習強国』に遅れてはならない」と念を押されたのだ。

 同ネットユーザーは「今はもう本当にプライバシーが全くないんだ。監視されている実験用シロネズミのような気がする」と感嘆した。

 また、他の都市でも同じような状況が起きていることを明かした人もいる。「今日、上海の女性が、上海に2つの家を持っていて、両方の街道弁事所からワクチン接種を受けるように毎日電話がかかってくると言っているのを聞いた。彼女は片方ですでに接種したと伝えても、もう片方ではノルマがあるからと言われ一歩も譲らなかった。彼女は1人の人間だから、2回も接種するわけないだろうと憤慨していた」

 4月中旬、国家衛生健康委員会は、新型コロナウイルスに対する全員の予防接種の義務化という現象をしっかりと是正するという声明を発表した。しかし、上海や北京など多くの都市が、抽選や賞金、ワクチン接種をしないと公共交通機関の利用を禁止するなど、ワクチン接種を強制していることがインターネット上で明らかにされた。

注1:街道弁事所(かいどうべんじしょ)は、中国に存在する街道と呼ばれる郷級行政区である都市基層政府の出先機関である。

注2:学習強国(がくしゅうきょうこく)は、中国共産党中央宣伝部が主管する、習近平党総書記の講話と同氏による新時代の中国の特色ある社会主義思想を主な内容とする教育プラットフォームである。

(翻訳・藍彧)