5月10日開始したイスラエルとパレスチナのハマスとの交戦は、12日目の21日午前2時停戦に入りました。ガザ地区を中心に双方で240人以上が死亡しましたが、その中、パレスチナ側の死者数は232人です。交戦はハマスが起こしたが、わずか数日後、ハマスの敗北で終わりました。イスラエルとパレスチナとの武力衝突は過去もずっと存在し、中共はずっとパレスチナを支持し、中国の民衆の態度も中共政府と同じでしたが、今回のイスラエルとパレスチナとの交戦を通じて、中国民衆の態度は中共政府と反対になり、多くの人はイスラエルを支持するようになりました。今回のイスラエルとパレスチナとの交戦を通じて、中国人は何を分かったのでしょうか。中共はどんな衝撃を受けたのでしょうか。今日はこれらのことについて話します。
交戦の直接原因
イスラエルとパレスチナがともに自分の聖地と思っているエルサレムには、両方の住民が大量に住んでおり、歴史上、領土上、宗教上などの問題で、ずっと小競り合いが発生していました。今年は、イスラム教のラマダン(断食月)が始まった4月中旬、聖地エルサレムで二つの事件が発生しました。一つは、イスラエルがシェイク・ジャラ地区に住んでいるパレスチナ人の家族数世代に立ち退きを迫ったため、パレスチナ側の怒りに火をつけ、パレスチナ人が抗議を始めました。ちょうどこの時期、もう一つの事件が発生しました。今月7日に旧市街のイスラム教の礼拝所「アルアクサ・モスク」でイスラエル警察がパレスチナ人の寺院への進入を禁止したため、5月10日パレスチナ人とイスラエル警察の衝突が発生し、300人を超える人が負傷しました。
イスラエルの占領地でユダヤ人が国際法に反する入植活動を進め、パレスチナ人を追い出しているとの反感がパレスチナ人の間に広がり、特に、モスクにイスラエル警察が突入したことに反発して、パレスチナのガザ地区を実効支配するハマスが10日夜6頃、イスラエルに大量なロケット弾を発射し、イスラエル軍が直ちに反撃し、ガザを空爆して戦争が始まりました。
交戦の深い原因
イスラエルとパレスチナの間には、昔からずっとトラブルがありました。しかし、平和条約を結んだこともあります。1993年、パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会議長ヤセル・アラファトとイスラエル首相イツハク・ラビンが「暫定自治政府原則の宣言」を結んだことがあります。この宣言を「オスロ合意」とも言います。しかし、イランは「オスロ合意」に反対し、イスラエルに聖戦をすると揚言していました。パレスチナのハマス組織もイランと同じく、イスラエルとのすべての談判を拒否し、イスラエルに武力攻撃することこそ、パレスチナの唯一解放の道だと主張していました。要するに、イスラエル国を消滅しようとすることは、イランとハマスの政治的最大の公約数でした。これが、イスラム教のパレスチナのスンニー派・ハマスとイランのシーア派が流派を超えて同盟が結ばれる政治的基礎です。過去数十年来、パレスチナとイスラエルの間に平和的協議が達成されようとすると、ハマスとイランは自殺式爆発などテロ手段で平和を破壊していました。ハマスとイランは中東の和平プロセスをずっと破壊しています。
トランプ大統領には、歴代のアメリカ大統領がやりたくても実現されなかった非常に眼立つ外交実績があります。これは中東平和を実現したことです。アメリカにとって、中東平和達成の最大の戦略価値は、戦略中心を中東からインド太平洋地域に移して、中共に対応することです。実際に、トランプ政権時代に米軍はシリアやアフガニスタンなどから撤退し、米国中心とする日米豪印4カ国アジア版NATOが構築され、「中国包囲網」が形成されていました。現在のバイデン政権もトランプ政権のこの戦略システムを引き続き実施しています。これは中共にとって、非常に不安なことです。
2001年の911テロ事件以降、アメリカが中東での対テロ戦略に全力を注いでいたため、中共は発展の機会を得て、この期間に飛躍的な経済発展をさせることができました。中共自身もこの時期を黄金10年だと公に認めています。現在、アメリカとする「中国包囲網」を突破したければ、中共にとって、最も良い方法は古い手口を繰り返すことです。つまり、中東が再び戦乱になって、アメリカが中東に戻って行くことです。これは孫子兵法では「囲魏救趙」と言い、魏を囲んで趙を救うということです。
今回、ハマスがイスラエルを主導的に攻撃したことは、中共が直接支持したとの根拠はありません。しかし、2009年ハマスが発射したロケット弾のロケットランチャーには、中国製の鉄鋼があるとの報道はありました。ハマスの武器はほとんどイランから購入したものですが、イランの武器には中国から購入したものがあるため、中国製の武器がイランを通じてハマスの手に入った可能性もあるでしょう。ハマスに対するイランの影響とイランに対する中共の影響から見れば、イスラエルとパレスチナの衝突には、中共の影響は避けられないでしょう。現実には、パレスチナとイスラエルの戦争は中共の利益に符合しており、戦争において、中国が得る利益は最大だと、中共の高層幹部が書いた文章はインターネットで多く掲載されています。だから、パレスチナとイスラエルの交戦裏の中共利益の利益があります。
交戦に対する中共の反応
5月10日、ハマスがイスラエルに大量なロケット弾を飽和的に発射して戦争を起こした当初、国連安全保障理事会の持ち回り議長国として、中共政府はいかなる反応もしなかったです。しかし、戦争の進展は人々の想像を超えて、イスラエルのアイアンドーム防御システムがハマスのロケット弾の9割を迎撃したあと、イスラエルがハマスに反撃して、ハマスのガザ地区の司令官、ロケット部隊の司令官など、高級指揮官数十名を集団斬首し、160機の爆撃機を飛ばして、ガザ地区の地下道システムを高密度に空爆し、わずか40分間で、450発を超える爆弾を投下して、ハマスの地下道及び地下道に隠していた軍人とロケット弾などを全部破壊したあと、ハマスがこれ以上反撃する力がなくなった時、5月16日中共は初めて「戦争をやめろ」と言ったのです。
なぜ、戦争の初期、戦争が炎上して熱くなった時、戦争開始三日後、ハマスが停戦を求めていた時、14日イスラエル陸軍がハマスを侵攻しようとしていた時、イスラエルがハマスを空爆していた時、中共はずっと黙っていたのに、ハマスが反撃の能力を完全に失ったとき、「戦争をやめろ」と言ったのでしょうか。
中共が受けた衝撃
実は、中共がこの時期になって「戦争をやめろ」と言ったのはあまり意味がない余計なことです。中共がこのようにするのは、戦争の方向は自分が願った通りに行かなく、自分が得ようとしていた利益が得られなくなったからでしょう。しかも、中共は、今回のイスラエルとパレスチナの戦争から、二つの衝撃を受けたでしょう。一つは、イスラエルのアイアンドーム防御システムの迎撃効果でしょう。アイアンドームはハマスの2000発を超えるロケット弾の飽和的攻撃の9割を迎撃したのです。これに対し、ハマスのロケット弾の命中率は非常に低いだけでなく、発射した後すぐ落ちて、自国の領土で爆発することもありました。ハマスのロケット弾はいったいどこから購入したかは分かりませんが、中共の手抜き工事で作られたロケット弾もこのレベルのものではないでしょうか。中共はロケット弾でアメリカの空母や台湾を飽和的に攻撃すると揚言していますが、アメリカの迎撃防御システムはイスラエルよりもっと優秀なので、中共の飽和的攻撃は効果があるでしょうか。中共は衝撃を受けたのではないでしょうか。
もう一つの衝撃は、イスラエルの高い正確率も攻撃です。イスラエルは目標を攻撃する前に、目標周辺の人々に電話して、これから攻撃するから、避けて欲しと知らせて、なるべく市民を殺害しないようにしたこと。また、普通の兵士はなるべく殺さなく、ブレード・ミサイル(Blade Missile)を使って、軍隊の高級指揮官や重要人物を集団斬首したことです。イスラエルのこのやり方は、ハマスと中共のやり方と相反しています。中共とハマスは敵対国の市民を無差別に殺害するだけでなく、自国の市民を自分を守るための盾としていますが、イスラエルは戦争の目的が非常にはっきりしています。自国の市民はもちろん、敵対国の市民と普通の平視までなるべく殺害しなく、目標は敵対国の軍事施設と軍隊の高層幹部です。これらの映像はインターネットで掲載されているため、イスラエルの誠意を全世界の人が知っています。もちろん、中国人も見ています。中共は数年来、ハマスは被害者で、民族英雄のように形を作って宣伝し、イスラエルを戦争屋、侵略者、平和の破壊者のイメージで批判しながら国民をだましていましたが、今回のパレスチナとイスラエルの交戦を通じて、中国人は中共が嘘をついていることを分かるようになったでしょう。
今回のパレスチナとイスラエルの戦争は、新たな戦争モデルとなるでしょう。将来、米中が南シナ海、或いは台湾海峡で戦争するとき、このモデルが使われるのではないでしょうか。独裁者が最も恐れているのは死亡です。米中戦争が発生した場合、米軍が集団斬首戦略を取って、中共解放軍の高層指揮官をはじめ、軍事、技術、経済、宣伝などすべての領域の高層幹部を集団斬首すれば、戦争はすぐ終わるのではないでしょうか。習近平をはじめ、中共の高層幹部はこのことを考えているでしょう。
(李真実チャンネルより転載)