避暑山荘の周りにある寺院―普陀宗乗之廟と須弥福寿之廟(頤園新居 / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0)
立派な寺院群
避暑山荘の外には立派な寺院建築群があり、八つの寺院が半円状の形に並び山荘を囲んでいる。これらが有名な「外八廟」である。建築風格はチベット仏教の寺院に倣っており、少数民族の王侯貴族が清朝の皇帝を拝謁する時に、佛を礼拝するためのものだ。
普陀宗乗之廟は、避暑山荘の周りにある寺院の中に最大規模の寺院である。この寺院はチベットのラサにあるポタラ宮にならい建築された。「普陀宗乗」はチベット語「ポタラ」から翻訳したもので、普陀宗乗之廟は「小ポタラ宮」とも呼ばれている。
須弥福寿之廟はパンチェン・ラマが住んでいたチベットのシガツェ市にあるタシルンポ寺にならい建築された。「須弥福寿」はチベット語「タシルンポ」から翻訳したものである。
避暑山荘は地形をうまく利用し、山と湖などの自然条件と建物との融合を図り、中国南北の建築技術の粋を兼ね備えている。宮殿は素朴であるが、威厳を併せ持っている。苑景区は自然を楽しむ最適な場所として、建築と自然が互いに引き立てている。園の中に園があり、景色の中の景色がるとは、まさにこのことであろう。承徳避暑山荘が「中国古典庭園の最高傑作」と評されるのも納得だ。
(おわり)
(文・呂漢文 / 翻訳・清水小桐)