新疆ウイグル民族の子供(neverdance, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)が発表した第7回国勢調査のデータは、国内外で疑問視されている。国勢調査の公式データによると、過去10年間で漢民族人口の増加率は5%未満に対し、少数民族人口は10%以上増加しているという。

 しかし、オーストラリアのシンクタンク「戦略政策研究所(ASPI)」が12日に発表した最新報告書によると、中国新疆ウイグル自治区の2017年から2019年までの出産率の低下は、人類の近代史の中で最も大きく、シリア内戦、ルワンダとカンボジアの大虐殺の際の出生率低下を上回った。

 同研究所は、中共政権が公開しているデータを用いて、2011年から2019年までの全国の出生率データを集計し、中共政権が2016年に新疆ウイグル自治区で大規模な弾圧を開始した前後、現地の各民族や地域の傾向を分析した。

 研究によると、中共が新疆ウイグル自治区で一連の出生抑制策を実施した後、2017年4月以降、出生率は急激に低下し、2017年から2019年の間に出生率が約48.74%減少した。出生率が急落した地域は、主にウイグル人や少数民族が住むコミュニティである。2017年から2018年にかけて、地方の県では出生率が平均43.7%低下した。少数民族が9割以上占める町では、出生率が平均56.5%低下した。

 同報告書の共著者の一人であるNathan Ruser(音訳:ネイサン・ルーザー)氏は、この極端な出生率の低下は、国連が71年前から世界の出産データを収集して以来、前例のないことだと述べた。

 スタンフォード大学人権・国際司法センターの学者であるBeth Van Schaack(音訳:ベス・ヴァン・シャック)氏は、「ジェノサイドは大量虐殺に限らず、生殖能力を制限し、子供や家族を隔離にし、集団としてまとまった形での生活や継承を不可能にするなど、他の形で民族を絶滅することを強調しなければならない。新疆で起きている状況は、その例である」と述べた。

 1月19日、米国務省は中共当局による新疆ウイグル自治区での残虐行為を「ジェノサイドおよび人道に対する罪」と公式に認定し、政権交代後のバイデン政権でも同認定が継続されている。

(翻訳・徳永木里子)