アフガン(パブリック・ドメイン)

 反政府武装勢力タリバンの指導者らが15日、首都のカブールに侵入して大統領府を掌握し、タリバン主導の新政権樹立が決定的となった。大統領アシュラフ・ガニ氏(72)は国外に脱出し、民主政権は瓦解した。各国政府は、不安定な状況のため、アフガニスタンにいる国民を極力避難させようとしている。

 AP通信によると、ガニ大統領は側近と一緒に離れたが、どこへ行くのかは明らかにしなかったという。ロイター通信は、ある内務省の高官の話として、ガニ氏がアフガニスタンの北隣にあるタジキスタンに向かっていると報じた。

 タリバンの武装勢力は、ほとんど抵抗にあうことなくカブールの郊外に到着し、現在ではアフガニスタンのすべての国境検問所を支配している。タリバンの指導者らは15日夜、大統領官邸を占拠したと発表した。

 アフガニスタンのビスミッラー・ハーン・モハンマディ国防相代理は、ガニ氏が少なくとも3人の政府関係者の代表団に権限を委譲し、タリバンとの協議のために16日にドーハに向かっていたと述べた。

 同日、ハーミド・カルザイ前大統領はソーシャルメディアで、アフガニスタン政府がタリバンと会談し、政権移譲を打診するための調整委員会の設置を発表した。声明では、「混乱を防ぎ、平和的な管理や移譲で、人々の苦痛を和らげるためだ」と説明した。

 タリバンは首都の住民を安心させようとし、タリバンの兵士が人々の家や会社に入らないと主張した。また、アフガン政府や外国軍に協力する者を「特赦」すると表明した。

 しかし、ここ数日、タリバンが占領した地域では、タリバンによる報復殺人などの残虐な手口が報じられている。15日に公開されたある書簡では、ドイツの主要な新聞社、公共・商業放送局、ドイツ通信社は、「アフガニスタンにいるフリーランスの人たちの命が今、深刻な危険にさらされている」と警告した。

 15日、米国をはじめとする各国が自国民の避難を急ぎ、多くの人が最後の出国ルートであるカブール空港から出国しようとする中、北大西洋同盟(NATO)は「カブール空港の稼働を維持し、アフガニスタンと世界とのつながりを保つために協力している」と表明した。

 米国務長官ブリンケン氏は、カブール空港に駐留する米軍が「出国が安全に行えるように協力する」ことを確認し、米大使館員も持ち出せない機密書類を破棄して帰っていることを明らかにした。

(翻訳・吉原木子)