スペースXの本社ビル(Official SpaceX Photos, CC0, via Wikimedia Commons)

 前回は上海モーターショーの会場で、展示中のテスラ電気自動車の上に上って、テスラ自動車のブレーキの不具合のため、交通事故を起こしたと、テスラ会社に抗議している女性の交通事故の経緯につて話しましたが、今回は、この事件にまつわる深い原因について話します。関連報道によると、テスラ会社は2013年年末に、正式に中国市場に入りました。当初は普通の外国企業と同じく、中共政府にあまり注目されていなかったです。中共政府に注目されるようになったのは、トランプ政権と中共政府の貿易戦争が始まり、トランプ大統領が米国の企業に中国から引き上げるように要求した後、テスラがトランプ大統領の呼びかけに従わなかったのがきっかけです。そのあと、テスラは中共に宝物のように扱われ、中国での発展が急速に進まれました。マスク氏は李克強首相と面会し、上海政府と契約を結び、工場敷地を購入など、わずか3ケ月内に達成し、その後、工場工事の着工から、第一台の車が生産できるまで、わずか8ケ月しかかかりませんでした。中共政府は、ほかの外国企業にはありえない優遇政策をマスクに提供して上げました。税金優遇、低利息融資、しかも、100パーセント外資企業として、全国範囲内で企業を建てることを許可したのです。これは中国で初めて建てられた100パーセント外資企業です。これまで、外国企業が中国で企業を建てる場合、必ず中国の企業と合弁の形式で建てなければなりませんでしたが、テスラは例外に、独立外国企業として投資することができたのです。しかも、CCPウイルス感染拡大の時期中に、中共政府はテスラにウイルス感染拡大防止用の物資の提供を確保したのです。

 テスラは、中共政府の特別な配慮のもとで、中国で急速な成長を遂げたのです。現在、中国はテスラにとって、米国の次の大きい市場となっています。2020年の中国での売上高(だか)は全世界での売上高の約四分の一で、上海工場での年生産量は25万台でした。2021年は45万台を生産すると計画を立てています。このように迅速に中国市場を手に入れることができたので、マスクはうれしくならないわけはないでしょう。去年7月、マスク氏は中共主催の世界人工知能大会(World Artificial Intelligence Conference、WAIC)の開会式でスピーチを行い、ビデオメッセージの中で、「自動運転技術レベル5の達成は非常に近い将来に実現する」と語りました。

 外国人が中国でビジネスを立ち上げるための手続きは非常に複雑です。ある韓国人が書いた文章を見たことがありますが、中国でビジネスを立ち上げるには130部門の許可が必要で、これらの部門から押印してもらうだけで三年かかったと書き、中国でビジネスするには忍耐力が強くなければならないと書いてありました。だから、テスラが独立外国企業として、非常に簡単な手続きで、中国でビジネスができ、しかも、短い時間で成功することは決して正常なことではありません。私はいつも言いますが、常識を超えたところには必ず問題があります。中共政府がテスラにこんなに便利な条件を提供するには、必ず別の目的があるでしょう。

 中国のSina財経ネットには、2021年1月13日掲載した「中国にとってテスラの重要性は?」という文章があります。文章には、次のような内容があります。「現在の中国の優秀な携帯電話ブランドは、空から降ってきたのではなく、芽を出して成長する土壌があったからだ」「アップルが肉を食べている時、私たちはスープを飲んでいた。競争は私たちが成長してからの話だ。テスラの導入も同じことだ。テスラが肉を食べている時、私たちはスープを飲んだ。我々が成長してから……」「新エネルギー自動車を手に入れようと、2009年から2019年までの10年間に、補助金を1,000億元以上投入したが、中国の電気自動車メーカーは、外国投資企業と競争する力はまったく形成されてない。それどころか、高額の補助金を手に入れるために頭を使っているばかりだ」「あなたたちが戦わなければ、あなたたちに戦わせる方法を考える。」「テスラの登場は、パワートレインシステム、電気駆動システム、充電、シャシー、ボディ、セントラルコントロール、インテリア、その他のコンポーネント、エクステリア・デコレーションなど、10項目の主要部品を含む新エネルギー自動車の産業チェーン全体を牽引することになるだろう。テスラ社に納入しているサプライヤーは全部で130社以上あるが、そのうちの半分を中国企業が占める」などの内容があります。

 アップルの力を借りてHUAWEIなどの企業が成長したことと同じく、テスラの力を借りて、一部の中国企業を成長させ、優秀な電動自動車を製造しようとすることこそ中共が求めていることです。sinaネットに掲載されているこの文章は、習近平のコピー政策、窃盗政策を漏らしたに等しいでしょう。ここ数年間、中共はテスラの技術をずっと盗んでいました。2019年テスラ会社がアメリカのカリフォルニア州で中国の自動車会社「小鵬」を起訴したことがありますが、テスラ会社の元エンジニアが「小鵬」自動車会社に転職する前に、テスラ会社の自動運転システムのソースコード関連ファイルを30万件以上コピーしたということでした。これは決して個人行為ではなく、計画してやったことでしょう。現在、中国では「理想」「尉来」「小鵬」など電気自動車が急速に発展し、2019年には新エネルギー企業が119企業に達しました。現在、中共はテスラの技術をすでにほとんど盗んだと思って、これからは、テスラの市場を奪い取ろうとしているでしょう。これこそ、テスラ自動車のブレーキの不具合のため、交通事故を起こしたと、張氏女性がテスラ会社に抗議する深い原因であり、事件の後ろには中共政府があるでしょう。

 もう一つの原因があります。マスク氏はテスラとスペースX(SPACEX)のCEOを兼任しており、最高レベルの電気自動車技術と宇宙技術を把握しています。中共のもう一つ狙いはここにあります。マスク氏のスペースX技術を狙っています。マスク氏の頭がいかに良くても、賢くても、中国にいる限り、マスク氏が把握している術は、早かれ遅かれ、最後には恐らく全部中共のポケットに入ってしまうでしょう。スペースXは米軍の重要なサプライヤーで、最大のパートナーはアメリカのNASAと国防総省です。現在、NASAの衛星発射仕事の三分の二をスペースXが担当しています。去年10月初、スペースXは米軍とミサイル予報システム生産の契約を結びました。このシステムは台湾海峡安全保護に関するものです。このように重要な役割を担当しているマスク氏が、中国に行って中共と商売することを、マスク氏は綱渡りをしており、火遊びをしていると例えている人がいますが、全くその通りだと思います。中国ではマスク氏のすべての行動が中共に監視されているので、マスク会社自身だけではなく、マスク会社の技術とデータを使用しているすべての人、アメリカの政府、軍隊、宇宙計画などを含めて、みんなが危険にさらされているでしょう。中共が宇宙領域を開発し、宇宙の支配権を握ろうとしていますが、宇宙開発の技術はどこから来るのでしょうか、中共の強さは研究による技術開発ではなく、コピーと窃盗によって技術を手に入れることです。しかも、これは中共の本性です。だから、中共は必ずマスク会社から宇宙技術を盗んでいます。ただし、すべてを完全に手に入れていないだけでしょう。

 また、中共がマスク氏を恐れており、マスク氏を脅すことも張氏がマスク会社に抗議する深い原因です。マスク氏はスターリンクを実施しています。スターリンクとは、衛星コンステレーション計画で、衛星インターネット・アクセス・サービスを提供するプロジェクトです。マスクのスペースX社はファルコン9(Falcon 9)ロケットで低コスト・高性能の衛星バスを発射しています。今年4月に、第24回目の60基の衛星が宇宙に送られ、いままで延べ1445基が送られ、そろそろ地球全体をカバーするようになっています。マスク氏のスターリンク計画が一旦成功し、中国大陸に開放すれば、中共のインターネットブロックはあっという間に崩壊してしまい、中共はこれ以上国民をだますことができなくなり、中共も崩壊してしまいます。中共にとって、これは電気自動車技術や宇宙技術よりもっと重要なことで、中共の命に係わることです。中共はマスク氏に対して精神分裂症になっています。テスラとスペースXの技術を手に入れるためには、マスクを愛しており、自分の命を守るためには、マスクを憎んでいます。中共は滅亡を最後の段階に来ているので、生き残っているためには、手段を選ばないです。上海モーターショー会場での、抗議する女性の姿を見てください。それは、女性にあるまじき行為ではないでしょうか。中共の長期的洗脳により、一部の中国人は人間の本性まで完全に失っています。今日の話はここまでにします。ご視聴ありがとうございました。

(おわり)

(李真実チャンネルより転載)