4月19日中国・上海で開催中の上海モーターショーで、「ブレーキの不具合」の文字があしらわれているTシャツを着ている女性1人が、展示されているアメリカ電気自動車メーカー・テスラの車両の上にのぼって、同社製品の性能に問題があると訴える騒ぎが発生しました。そのあと、この映像はインターネットに掲載され、急速に中国国内を含む全世界で拡散され、テスラは中国全国からの罵声を浴びるようになっていました。今日はテスラとマスクについて話します。内容は比較的多いですので、二回分けて話します。今日は、主にテスラ会社に抗議している女性の交通事故にまつわる経緯につて話します。次回は、この事件には深い原因があると思いますので、その原因について分析します。
中共と商売したり、付き合ったりすると、最後には必ず社会主義の暴力を経験するようになります。報道によれば、この女性は河南省安陽市の人で苗字は張です。事故発生地は河南省の鄭州市で、事故を起こしたのは張氏の父親です。3月9日インタ-ネットである女性が「テスラのブレーキの不具合」という文字を書いている車の上に座って、ツィーターを手にして、「テスラのブレーキ不具合のため、春節期間に交通事故が発生し、家族4人は死にかかったことがある」と抗議する映像が掲載されました。翌日、テスラはウェイブサイトで「運転記録データと事故現場の写真によると、当該車のスピードは、事故発生直前のブレーキをかける直前には、時速118キロでした。ブレーキをかけている期間にABSの機能には異常なかった」との文章を掲載し、しかも、交通管理部門の「事故責任認定書」まで公開しました。「事故責任認定書」によると、事故の原因は、運転手が安全な車間距離を保ってなかったことで、結論は事故のすべての責任を運転手・張氏の父親が負担することとなっていました。
張氏はこの判決に不服で、上告を申し立てました。3月8日河南省鄭州市鄭東新区の市場監視管理局が張氏の申告を受けて、双方の意見が一致した後、第三者に依頼して、車の品質について評価してもらうように調停していました。調停中に、張氏はテスラ会社に、事故発生直前の30分内のすべての記録データを提供するように要求しました。テスラ会社は張氏の要求に答えましたが、三つの前提条件を提出しました。第一は、データの用途について契約を結ぶこと。第二は、張氏が車をテスラ会社指定の修理屋に送ってくること。第三は、双方が共同に第三者に依頼して、自動車のブレーキシステムつていて検査し、評価してもらうこと。しかし、張氏は、とりあえずデータを提供し、それあと、検査のことを考えると主張していたため、調停が進まなく、停止状態になっていました。ちょうどこの段階で、張氏は激しい抗議行動を行い、さっき見た映像での事件が発生しました。
4月19日、モーターショーの初日11時頃、張氏はモーターショーの現場に現れ、「ブレーキの不具合」という文字があしらわれているTシャツを着て、展示用のテスラ車両の上に上って、飾り用の傘を倒しながら、大きい声で、「テスラの車のブレーキに問題がある」と叫んでいました。最後には、張氏は警備員に止められ、公安局から5日間の刑事拘留を受けました。事件後、この映像はインターネットに掲載され、急速に中国国内で拡散され、テスラ会社は全国からの罵声を浴びるようになりました。しかし、テスラ会社は「無理な要求には決して妥協しない」とインターネットで表明しました。張氏の抗議活動がいかに常識を超えても、あくまでも交通事故は民事事件に過ぎないですが、テスラ中国支社の責任者陶氏は、「張氏のやり方はプロのレベルで、彼女は必ず誰かの指示を受けているように感じた」と言いました。この後の中国政府の事件に対する態度から見れば、これは確かに普通の交通事故ではなく、最初から計画を立てた事件か、或いは普通の交通事故による民事事件が誰かに利用されたのではないかと考えられます。
張氏がモーターショーの会場で気が狂ったかのように抗議した後。CCTVをはじめ、テスラに言論暴力をかけました。新華社は、4月20日、「テスラは中国の顧客の拷問に直面しなければならない:責任はどこにあるのか?責任者はだれか!?」を題した文章を発表して、「テスラに妥協しない自信を与えたのは誰か?」と批判し、人民日報は新華社の文章を転載しながら、「代替物がない製品はない」との内容を発表し、CCTVの評論番組では、「張氏は本当にスピード違反で衝突事故が発生したため、車の返品を求めているのかは、さらに詳しく取り調べる必要があるが、テスラの高層の応対から見れば、問題解決の誠意はなく、世界レベルのブランドの傲慢しか見えない」と評論しました。それから、全国のメディアは一斉にテスラを攻撃し始めました。この事件と全く関係ない中央政法委員会までウェイブサイトで、「テスラは必ず中国顧客の拷問に直面しなければならない」という文章を発表し、中国の監視管理部門も、「今回事故に関する運転記録データを無条件に提供するようテスラに命令した」と表明しました。実は、監視管理部門はテスラにこのように命令する法律根拠はありません。
中国政府とメディアの圧力に耐えられないため、テスラは再三に譲歩して、21日深夜に謝罪文章を発表し、「監視管理部門に協力して、運転記録データを提供して、政府指定の権威者に鑑定してもらい、費用までテスラが負担する」と表明し、22日には、張氏の事故発生直前の30分内の運転記録データを鄭州市の監視管理部門に提出すると同時にウェイブサイトで公開しました。事故発生直前の1分間内の運転記録によると、最後のブレーキをかける前の時速は118.5キロでしたが、ブレーキをかけてから2.7秒内に、衝突警報が鳴り、自動緊急ブレーキシステムが起動し、衝突を大幅に緩和させたのです。ABSが起動してから1.8秒後に衝突が発生しました。しかも、衝突するときのスピードは時速48.5キロまで落とされました。つまり、ブレーキの機能は正常で、衝突の直接原因はスピードが速すぎと車間距離が近すぎということでした。
運転記録データによると、運転手が30分内にブレーキを40回以上かけたことがあり、車のスピードが数回も時速100キロを超え、数回も止まったことがあります。これらのデータから見れば、車のブレーキには問題はなく、すべてが正常でした。このデータは、張氏及び中国政府、メディアに平手打ちをしたことに等しいです。こんな状態で、張氏の夫は、テスラがメディアに運転記録データを公開したのは、個人情報を漏らし、消費者の法的権利を侵害する行為だとして、鄭州市の市場監視管理局に訴えると表明しました。
これは非常におかしいことで、無理なやり方でしょう。妻の張氏が運転記録データを公開するようテスラに必死に要求し、鄭州市の市場監視管理局に訴えたため、テスラは仕方がなくデータを公開したのに、張氏の夫はデータの公開は個人情報の漏洩と消費者の法的権利の侵害だとして、同じ部門である鄭州市の市場監視管理局に訴えることは可笑しいではないでしょうか。世の中にはこのようなやり方はありますか。これはごろつきのやり方ではないでしょうか。どうしてもテスラには問題があり、車に問題がなければ、会社に問題があるということでしょう。これは、交通事故を起こしたテスラ電気自動車の持ち主が、テスラ会社に抗議する事件の大体の経緯です。
中国では、家屋が不法に強制的に取り壊されたり、農地が不法に徴用されたり、品質の悪いワクチンの接種を受けた子供がおかしくなったりなど、個人の法的権益が侵害されたため、政府に問題可決を求め、抗議する人が毎日数百万ほどありますが、政府は一切対応せず、特に政法委員会はもっぱらこのような人を弾圧してきていたのに、なぜ、今回のいわゆるテスラ電気自動車の交通事故にまつわる抗議者だけ政府と政法委員会は極力支持するのでしょうか、明らかに、この事件の裏には必ず深い原因があり、中国政府と深い関係があるようです。次回、この事件の深い原因について話します。今日の話はここまでにします。ご視聴ありがとうございました。
(つづく)
(李真実チャンネルより転載)