ボイス・オブ・アメリカ(VOA)4月29日の報道によると、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)、ティナ・スミス上院議員(マサチューセッツ州選出)、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は先週新に、中国への医薬品依存を減らし、米国の医薬品サプライチェーンの安全確保するための2つの法案を提出した。上院議員らは、米国が「重要な医薬品リスト」を作成して国内製造投資に資金援助を行い、製薬メーカーに米国食品医薬品局(FDA)への原料供給元の報告を義務付け、海外からの直接投資が国内の医薬品製造能力影響を与える調査を行う必要があると提案した。
新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)のパンデミックにより、米国では医薬品サプライチェーンの中国への過度依存という懸念が高まっている。
米ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRAP)のデータによると、2020年には新型コロナウイルス感染者への治療に必要な40種類の薬剤のうち、約半数が不足していた。一般的な鎮痛剤であるタイレノールが不足しており、その有効成分であるアセトアミノフェンの供給は中国にほぼ独占されている。FDAは、医薬品原料メーカーの80%が米国外にあり、そのほとんどが中国やインドにあると推測した。中国は一般的に使用される医薬品における世界のサプライチェーンをほぼ独占している。CIDRAPの報告によると、中国はペニシリン、レボドパ、アセトアミノフェンなどの医薬品に使用される原薬(薬に含まれる有効成分)の供給市場をほぼ100%占めており、抗糖尿病薬、抗高血圧薬、抗レトロウイルス薬、その他の抗生物質などを含む、主要な医薬品に使用される原薬の3分の2以上を占めている。
ローズマリー・ギブソン氏(注1)は、中国が医薬品製造の核となる成分の米国への輸出を止めれば、数ヶ月のうちに米国の薬局の棚は空になり、医療システムは停止してしまうと述べた。
中国公式メディア新華社のコメンテーターは、2020年の記事の中で「もし中国がこのタイミングで、米国への渡航禁止に加えて、医療品の戦略的規制や米国への輸出禁止措置で米国に報復すれば、米国は新型コロナウイルスという難題を解けないだろう」と書いた。
注1:ローズマリー・ギブソン氏は生命・医療倫理専門のシンクタンクであるヘイスティングス・センターの上席アドバイザーであり、『意訳:中国の処方箋:中国製医薬品に依存する米国のリスクを暴く』の著者でもある。
(翻訳・徳永木里子)