上海モーターショー初日の19日、「ブレーキ故障」とプリントされたTシャツを着た女性が展示車両テスラモデル3の上に立ちながら、「テスラのブレーキは効かない」と叫び続ける一場面が大きな話題を呼んだ。

 中国メディアによると、同女性は今年2月、テスラモデル3を運転中にブレーキが故障して2台の車に衝突し、家族4人が危うく死ぬところだったと語った。これに対してテスラはバックグラウンドデータを取り調べ、事故発生時に時速118.5キロで走行しており、ブレーキの異常はなかったという。

 テスラは19日午後「製品に問題があった場合、しっかりと責任を取るが、理不尽なクレームには妥協しない」と応じた。

 中国共産党公式メディアの新華社通信は20日「テスラ幹部の傲慢な対応、誰がテスラに妥協しない底力を与えたか」という記事を掲載した。また、「会社が顧客を欺く」疑いがある場合は、関連部門も監督を強化すべきだという。中国中央テレビ(CCTV)は、規制部門による介入が最良の解決策だとコメントした。

 その後、テスラの態度が軟化し、20日深夜11時に公式ウェイボーで謝罪文を掲載し、「教訓を学び、政府の関連部門の調査に協力し、消費者と市場を尊重して厳格な自己検証と自己修正を実施する」と述べた。

 テスラを批判するネットユーザーがいる一方で、「お騒がせ女性は演技の割合が高すぎる」と、女性の発言の信憑性を疑う声も多かった。

 台湾に滞在している中国の反体制派である龔与剣氏は、「希望の声」のインタビューで、お騒がせ女性が中国共産党当局の指示の下でお芝居をしたのではないかという疑問を呈した。「現在、中国の電気自動車の研究開発もある段階に達しているので、テスラを標的として制圧してから、中国独自の電気自動車開発を進める打算である」

 台湾国際法学会の林廷輝副幹事長はインタビューで、車の所有者が賠償を求めているのであれば、法的手続きを経て問題を解決すればよいのに、なぜ公に訴えたのかという点に着目した。「中国ではメディアが厳しく規制されているが、テスラ事件の場合では、同騒動は抑制されなかっただけでなく、CCTVを通して宣伝された。これは明らかにおかしない話だ」と疑問視した。

 ツイッターで「共産党の狙いは、単にテスラを中国に誘致してから、徐々に技術を盗み、それに代わるファーウェイのドライバーレスカーを発売することだ。 遅かれ早かれ、テスラの運命はサムスンと同じように、完全に根こそぎにされてしまう」とコメントした人もいる。

(翻訳・徳永木里子)