新疆ウイグル自治区コクトカイ県(イメージ:罗布泊 CC BY 3.0)

 新疆ウイグル自治区の列車が突然チケットの発売を停止し、運休となった。様々な憶測が飛び交う中、新疆ウイグル自治区政府が列車を利用し労働収容所に収容されている20万人のウイグル人を秘密裏に移転している可能性があるとの情報が有力視されている。

 「ラジオフリーアジア(RFA)」よると、新疆ウイグル自治区政府は9月26日以降、ウイグル人、カザフ人、キルギス人等の少数民族を列車で転移した。新疆ウイグル自治区南部のウイグル人は北部に移され、北部のカザフ人は隣の甘粛省に移された。新疆ウイグル自治区カシスフ県の警察より、少数民族を大量に移転されたことを確かめた。

 報道によると、今回の移転は新疆ウイグル自治区南部のカシスフ県やホータン市等に住むウイグル人及び北部のイリカザフ自治区等に居住するカザフ人の集落までが対象となり、住民の数は約20万人に上る。

 当局がウイグル人の大規模移転を行う理由は、世間を欺くことであるとの見方が示されている。まず、新疆ウイグル自治区の労働収容所はすでに満杯状態にあることだ。さらに秘密保持のためでもあるという。拘束者があまりにも多いため、労働収容所の看守の家族や親戚まで収監されているケースもあり、そのような情報が外部に知られないようにするためだ。

 情報筋によると、新疆ウイグル自治区新源県の地方政府は数百人の警察を動員し、密かに数千人を労働収容所から移し出した。移動中の写真撮影はもちろん、通り沿いの窓を開けることや自家用車の通過まで厳に禁じられた。

 一部の地元の人々によると、十数日前から、新疆ウイグル自治区の各地でバスが絶えずウルムチに向かっていった。それらの窓には黒いカーテンが掛けられ、車内には男性と女性が多く詰め込まれていたという。そのほかにも数千人がイリ鉄道駅から列車に載せられたが、行き先を知るものは一人としていない。

 先週水曜日付の「ウルムチ晩報」紙の報道によると、新疆鉄道は列車の運行調整のためにチケット販売を一時停止し、再開日は別途通知すると告知を出した。しかし具体的な理由は説明されず、運航再開のめども立っていないため、様々な憶測がなされている。

 また、アクス道路管理局は9月30日、天候を原因に国道G217を封鎖し、来年4月30日に再開すると通知した。

 今年8月、約百万人のウイグル人が中国で秘密に収監されているとの情報が世界中に知れ渡り、多くのメディアが新疆ウイグル自治区における人権問題を取り上げた。新疆ウイグル自治区における労働収容施設を増築しウイグル人を迫害しているとして中国政府は非難にさらされた。中国の官製メディアは、新しく工事しているのは労働収容施設ではなく「職業訓練施設」だと主張しているが、それは事実ではないようだ。家族が拘束されたウイグル人は「ウォールストリートジャーナル」に対し、そこは「ブラックホールのよう」であり、「一度入ったら出られない」と語った。

(翻訳・清水小桐)