中国の中央銀行(中国人民銀行)は積極的に他の国と連携し、デジタル人民元の国際化を推進している。現在アメリカの中央銀行(連邦準備制度理事会)はまだ対応措置を見せておらず、米ドルの国際地位は不動のものだという専門家の意見もある。
中国は先日、イランと25年間の全面協力協定を締結した。同協定に基づき、中国はイランに直接投資し、イランは中国に低価格の石油を提供し、人民元あるいはデジタル人民元で決算する。
実際、北京当局は、デジタル人民元で米ドルの国際地位に挑む決心を隠していない。3月25日に行われた「2021年国際決済銀行サミット」で、中国の中央銀行デジタル貨幣研究所長穆長春氏は、デジタル貨幣の推進を加速させるのは「自らの通貨主権と法幣(不換紙幣)の地位を守るため」であるとし、デジタル貨幣の米ドル化を避ける必要性を表明した。
米連邦議会準備制度理事会のジェローム・パウエル会長は、3月の国際決済銀行サミットで、「中国中央銀行のデジタル貨幣には対応を急ぐ必要がなく、我々はデジタル貨幣を初めて打ち出す中央銀行になる必要もない」と述べた。
現在、米ドルは依然として主導地位にあり、米ドルが世界の中央銀行で外貨準備高の60%以上、金融取引の85%以上を占めている。これに比べ、人民幣はいずれもわずか2%に留まっている。
10日、アメリカ・オブ・ボイスの報道によると、米ヘリテージ財団データ分析センターのノーバート・ミシェル氏は「米ドルを主導地位に立たせたのはアメリカの強力な政治経済地位であり、デジタル人民元によって変わることはない。もう一つ米制裁力を弱められる唯一の方法は、他の貨幣自体が米ドルより価値があると思われることである」と述べた。
ピーターソン国際経済研究所の経済学者ジョゼフ・ギャニオン氏は「中国が投資者を説得する道のりはまだ長い、デジタル人民元は何も影響をもたらしていない」とし、「デジタル人民元はその構造からみて、人々の消費を追跡しコントロールしたい政府の野心である。つまり、専制傾向にある政府の権力を増長させてくれるものである」と述べた。
(翻訳・北条)