アントニー・ブリンケン米国務長官は11日、NBCのインタビューで、北京が台湾に対する侵略行動を強めていることに懸念を示し、「台湾海峡の現状を武力で変えようとする者は、重大な過ちを犯すことになる」と改めて警告した。
しかし、12日、中国共産党(以下、中共)は25機の軍用機を派遣し、台湾の南西部防空識別圏(ADIZ)に侵入した。台湾空軍は直ちにスクランブルをかけ、対空ミサイルを使って追跡・監視した。中共軍機は3日以降10日間継続で台湾を侵犯しており、中華民国国防部が2020年9月17日に中共軍機の動向を公開し始めてから、軍用機の記録としては最多となった。
米国務省も12日、これに懸念を表明し、北京が軍事的、外交的、経済的に台湾を圧迫するのをやめるよう、再び呼びかけている。
これに対し、台湾大手のシンクタンクである国家政策研究基金会の軍事研究員である掲仲氏は、中共軍の訓練の焦点は、実戦システムと実戦訓練にあると考えている。バシー海峡は中共にとって重要な戦略拠点(フィリピンの海峡につながり、原子力潜水艦による米国への直接攻撃が可能)であるため、台湾南西部海域やバシー海峡での中共軍の訓練頻度が高まるのは当然である。
今回侵入した中共軍機の中には、Il-78空中給油機とSu-30戦闘機がまだ確認されていないことから、中共はまだ長距離の護衛攻撃能力を持っておらず、バシー海峡周辺でしか活動できない、と掲仲氏は分析した。
また、掲仲氏は「近日、米航空母艦『セオドア・ルーズベルト』がフィリピンのルソン島北部に滞在していることから、中共軍がこの機会に米空母への攻撃をシミュレーションしようとしている可能性も否定できない」と語った。
中華民国国防省のシンクタンクである国防安全研究院の学者、蘇紫雲氏によると、25機の戦闘機の中には主に水上艦を標的とするJ-16戦闘機(対艦ミサイル約6~8発分に相当する15トンの弾薬を搭載できる)、空母戦闘群の航空監視能力の不足を補うKJ-500早期警戒管制機があるため、現在、中共は空母戦闘群と連携するための陸上戦闘機を必要としており、今回台湾への大規模な侵入は、米国の空母打撃群を狙ったものだと推測できる。
(翻訳・徳永木里子)