オーストラリア籍記者、戦略政策研究所(ASPI)の研究員である許秀中氏(ASPIウェブページのスクリーンショット)

 オーストラリア籍記者、戦略政策研究所(ASPI)の研究員である許秀中氏は、欧米のメディアに新疆ウイグル自治区の人権に関する記事を数多く執筆した。最近、中国共産党(以下、中共)が起こした新疆綿の嵐は中国で燃え続けており、中共のメディアやソーシャル・メディア・プラットフォームは、許氏に矛先を向け、西洋の新疆綿不買運動の扇動者であるとし、「反逆者、麻薬中毒者、性売買に従事している」と中傷した。

 中共から中傷された同氏は、かつて筋金入りの小粉紅(注)であり、中共政府のために同級生やボーイフレンドと喧嘩し、足首に五星紅旗(中国国旗)のタトゥーを入れたことがあったとは想像できるだろうか。

 2014年、メルボルン大学でメディア専門を学んでいた許氏は、研究を進めるために多くの中国系の人々にインタビューし、「六四天安門事件」での大虐殺や中共による反体制派への弾圧など、中国で知り得なかった多くの真実を知る機会を得た。真実を知ってから、中共に対する態度が変わった。

 同氏は、事実を書いたため、大学時代に中共工作員から事情聴取され、道で止められて脅されたことなどを明らかにした。2019年、中国にいる家族や友人が嫌がらせや脅迫を受け、父親は彼女との通話をやめ、母親は今後中国に戻らないように警告した。

 「今まで黙って自分を守ろうとする考えがあったとしても、インターネット上で暴力を振るわれた後、その考え方が全くなくなった。『新疆ウイグル再教育収容所』が閉まるまで、強制労働が終わるまで、迫害時代が終わるまで、書き続ける。個人的には、正しいことをやり続けなければならず、支払った代償はそれなりの価値がある」と同氏が述べた。

注:小粉紅(しょうふんこう、シャオフェンホン)とは、中国語では「ピンクちゃん」に等しく、「未熟な共産主義者」であるという意味で使われている。

(翻訳・徳永木里子)