日本のアムネスティ・インターナショナル(nesnad, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 アムネスティ・インターナショナルは7日、2020年の人権報告書を発表した。報告書によると、2020年には、多くの政府が新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行を武器化し、自国民の権利をさらに抑圧した。そして中国共産党(以下、中共)は、2020年に人権擁護者や反体制派と思われた人々を残酷に取り締まり、少数民族を体系的に弾圧していた。

 アムネスティ・インターナショナルの新事務局長であるアグネス・カラマード氏は、新型コロナウイルスの流行が猛威を振るう2020年に、各国政府は社会的弱者への影響を緩和するために優れた指導力を発揮すべきだが、実際にできなかったと述べた。同氏は平等、人権、人間性に基づき世界を再構築することを各国リーダーたちに呼びかけた。

 同報告書によると、2020年、中国では多くの外国人記者が追放され拘束され、ビザの申請や更新が遅らされ、拒否された。一方、中国内以外で運営するテクノロジー企業は、中共が政治的に敏感だと見なされたコンテンツをブロックし、中共の政治的検閲基準を国際社会に拡大した。

 同報告書では、中共が疫病を隠蔽するため、言論の自由・内部告発者・人権擁護者や弁護士への弾圧問題、新疆ウイグル自治区・チベット自治区・内モンゴル自治区の少数民族の権利を侵害する問題、及び「香港版国家安全法」を利用し香港の言論や集会自由を締め付けている問題などを挙げた。

 また、2019年12月末に中国の医療関係者が新型コロナウイルスに関する警報を発したにもかかわらず、中共当局は直ちに対応せず、代わりに取り締まる方針をとっていた。パンデミックに対して国際社会が共同で対応することにも影響を及ぼし遅延させたと、中共を批判した。中共公安部のデータによると、2020年2月21日の時点で、中共は、新型コロナウイルス発生について「虚偽の有害な情報を捏造し、意図的に広めた」として、個人に対して5,511件以上の犯罪捜査を行った。

(翻訳・徳永木里子)