(イメージ / www.kremlin.ru CC BY 4.0)
中国とロシアの企業は73件に近いプロジェクトに調印し、その総投資額は1000億ドルを超える。一見通常の貿易活動のように見えるが、中国は共産主義国家・ロシアを救済することで米国の弱体化を狙っている。
ロシアと中国の経済同盟
中露の共同プロジェクトは、両国の主要企業の代表者から構成される「諮問委員会」が監督する。すでに46億ドル分ものプロジェクトが実施されており、今後数ヶ月でさらに多くのプロジェクトが開始される予定だ。
「両国の堅調な経済成長は高収益な投資のチャンスを増やします。さらに、ロシアと中国の関係に基づいた二国間取引に有望な取引が見込まれるでしょう」と、ロシア国家福祉基金の諮問委員会のメンバーであるキリル・ドミトリエフ氏はCNBCに語った。
両国は別々に新たな技術基金を設立した。それだけでなく、「中露イノベーションパーク」の建設も検討中であるという。また両国の有望な事業を奨励するため、計1億ドルもの合弁事業ファンドも設立された。
米国が恐れる「脅威」
中国は、米国の対抗勢力となるべくロシアとの絆を構築してきた。米国は、中露が共産主義のイデオロギーによって支配され、自由市場・民主主義に反感を抱いている点に恐れを抱いている。中国は米国と貿易戦争を継続中のため、ロシアとの緊密な関係構築に躍起になっている。
「中国は経済と軍事関係の拡大だけでなく、プーチン大統領との信頼関係醸成にも熱を上げています。これは米国に対するメッセージであると言えます。また、中国はロシアからエネルギー資源の提供を受け取れる強みがあります。さらには権威主義を高く評価するパートナーでもあります」と、ABCニュースは東京の国際基督教大学の上級准教授であるスティーブン・ナギ氏のコメントを紹介している。
両国とも、米国に対するスパイ活動やサイバー攻撃に関与していることでも有名だ。昨年、ロシアのハッカーは12のアメリカのエネルギー企業の機密情報に不正アクセスを行った。中国のサイバーテロ集団「APT10」は技術情報を盗むために、エンジニアリング、航空宇宙、電気通信に関わる米国の企業を絶えず攻撃している。
「米国に対する対外経済・産業スパイ活動は、引き続きアメリカの繁栄、安全保障、競争優位に重大な脅威となっています。特に中国、ロシア、イランは、経済スパイと米国の機密情報の盗難に関与しています」と、ビジネス・インサイダーは米国国家防諜安全保障センターの報告を引用している。
トランプ政権は、米国の知的財産権、知識、安全保障に対する中国の絶え間ない攻撃を把握している。実際に、米国のハイテク産業における中国の関与を弱めるため、彼らに付与されたビザを制限したこともある。
このほか、トランプ大統領は中国の国有企業による米国企業の買収に厳しく対処する構えだ。米情報機関は、中国企業の裏で糸を引く中国政府当局が米国のビジネス乗っ取りを企図していると分析している。ロシアと中国が経済的・軍事的な関係を深めていくほど、米国は安全保障政策を改善し、支配力を維持するための計画を洗練させなければならなくなるだろう。
(翻訳・今野 秀樹)