中国共産党の公式メディアは、『掃黒除悪(悪を一掃する)』(注)という政治評論ドキュメンタリーを放送している。3月29日夜に放送された第4話では、黒竜江省ハルビン市電力局の元副局長・李偉とハルビン電力集団元CEO・李桐兄弟汚職事件の氷山の一角が公開された。兄の李偉はベントレーやハマーなどの高級車、弟の李桐は清代の服装などの骨董品、2人で計69件の不動産を持っているなど、度肝を抜かれる内容ばかりだった。
同ドキュメンタリーによると、2人の不動産や車はローンで購入したのではなく、全額現金で支払ったという。さらに、他に押収された現金(銀行預金を含む)は10億元(約168億円)近くになる。
李偉は2010年にハルビン電気局長のアシスタントに就任し、ハルビン電力集団CEOを兼ね、3年後にハルビン電気局の副局長に昇格し、弟の李桐はハルビン電力集団CEOに就任した。
数年前、仮設の電気を長期間使用していたため、ハルビンの一部地域では電気がよく切断された。李偉兄弟は電力サポート料金をコントロールし、莫大な賄賂を受け取り、「早く電気を使いたいなら、気持ちとなるものを出さなければならない」と言い放ったほどだった。警察の調査によると、李氏兄弟は総額31.6億元(約533億円)以上の電力サポート料金のプロジェクトを下請けに出しており、合計24件の犯罪容疑がかけられた。
電力サポート料金とは、建物面積に応じて物件のデベロッパーが電力局に支払う料金である。電力サポート料金のプロジェクトは、本来ならば地域の電力会社から公募するべきなのだが、李偉が副所長を務めていた時期は、公募がほとんど彼の個人的な指定になっていた。
警察が公開した電話の録音では、李偉は「黒竜江省で電力に関して、もし何かあったら声をかけてくれれば、何でも私の一存で決められるから」と述べた。
公式メディアは、李偉の海南省三亜市で行われた盛大な誕生日パーティーで、「兄貴万々歳(ばんばんざい)」と叫ぶ人までいたことを取り上げた。
2人は2018年に捜査され、2020年10月に死刑判決を言い渡され、2年間の執行猶予がついた。
注:『掃黒除悪(悪を一掃する)』というのは、もともと習近平総書記が始めた悪勢力を取り除く運動のスローガンで、2018年1月に「『掃黒除悪』特別闘争の展開に関する通知」が公式に発表された。その主な対象者が12種類で、12項目目では「人権弁護士」も「悪」に分類された。
(翻訳・徳永木里子)